「ユーカリ植林」は環境破壊①

解毒作用もあるユーカリだが 成田 修吾
 本紙11月20日付で「ユーカリ植林の代償は環境破壊」の記事を読んだ。筆者もかつては農業指導しながら、「ユーカリ林の成長期には多量の水分を消費し、ユーカリ植林は土壌汚染の原因になる」と反対していた一人である。「ユーカリの木が分泌する精油成分は土壌中の微生物を殺し、森林の植物生態系を破壊し森林造成ができない」「緑化運動に乗じたパルプ産業で増加するユーカリ植林のため、土壌環境や周りの気候までが変わる」と否定的な見方の文献がかなり多い。

 現地の新聞情報だが、2006年6月中ごろ、パキスタン国のパンジャブ州森林省と環境保護局が「ユーカリの木は環境を破壊するものであり、パキスタン各地に広がるユーカリ林を伐採し、今後もこの植林を禁止する」と発表した。これは国際自然保護連盟のパキスタン代表部が発表したもので、「ユーカリは土壌水分を多く吸収するため、周辺の植物の成長が妨げられる」というのがその理由だ。
 伐採の進むパキスタン国内では、今でも州政府の措置に対する環境保護団体や緑化運動団体の間でも抗議が続いており、賛否両論が交差して「伐採は段階的に行い、並行して土地固有の木や植物を近くに植林する」と訂正している。

 一般的に「ユーカリ」の名はオーストラリアのコアラの食べ物ということで知られているが、ユーカリの木が生長している土壌には他の植物の成長を妨害する強烈な物質を分泌することが分かっている。
 分泌される精油成分には殺菌作用、解毒作用があり、鎮痛、筋肉痛、打撲痛を和らげる民間薬に利用され、また人の頭を明晰にし、集中力を高める作用もあることから、花粉症の緩和剤としても効果があると言われている。ハッカより強い刺激があり、染み透るような香りから風邪や感染症の改善に欠かせないものになっている。さらに、空気洗浄エアースプレーに使用すると、空中のぶどう球菌の70%を殺菌し、一部の成分は酸素と接触するとオゾン化するという報告まである。
 さらに、マラリアが流行した地域にユーカリ植林をすると、水はけをよくし、蚊の繁殖を阻止し、集落や町では健康な風土をつくるのに役立っている、という。

 ところが、地球環境を問題にする国連機関でも、森林の重要性をアピールする環境活動家グループがあるが、この研究家たちからすれば、ユーカリ植林は森林生態系を破壊するとして否定的な見解を示している。

 森林とは、広範囲にわたって樹木が密集している場所であり、集団としての樹木だけでなく、そこに存在するそれ以外の生物および土壌を含めた総体を指す。そこに生まれたのが、森林生態学、植物群落を研究する群集生態学、植物社会学、植生学と呼ばれる学問である。森林生態学は、その研究の主体とした生態学の一分野で、 森林に生息する植物、動物、菌類、細菌類などの生物群集と、土壌や気象などの環境との関わりによって生まれる生態系について研究を行う。緑化運動による植林事業にも生物多様性の理解や農学や林業などへの応用にも重要な部門である。(つづく)

2010年12月8日付

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