「ロボットと未来社会」 「人間とは何か」を考える

「ロボットと未来社会」 「人間とは何か」を考える
プログラムを施したロボットで会場に話しかける

大阪大学の石黒浩教授が講演

 在サンパウロ日本国総領事館(野口泰総領事)とジャパンハウス(JH)共催による、大阪大学の石黒浩教授(54、滋賀)による講演会「ロボットと未来社会」が3月17日、サンパウロ市ベラ・ビスタ区のJH1階セミナールームで開催された。石黒教授は、自身そっくりのアンドロイド「ジェミネイドHI―4」を用いて、ロボットから何が考えられるかを問いかけた。「人間とは何か」を考えることが、ロボットと共存する未来社会を考えるための一助になることを講演で語った。

 石黒教授は、ATR石黒浩特別研究室室長も務め、人間そっくりなアンドロイドで世界中の注目を集める知能情報学専門のロボット工学者。約1時間の講演会には、最先端のアンドロイドを一目見ようとJHの外まで入場者が長蛇の列を作った。

 石黒教授は講演の冒頭、「ロボットが出てきたら社会はどうなるか。ロボットが社会を支えていく時代が来る」と提言し、自身そっくりのアンドロイド「ジェミネイドHI―4」を来場者に紹介した。

 同アンドロイドが先日、石黒教授の代わりにチリの大統領を訪問した逸話を披露。同アンドロイドが石黒教授の代役を務めて講演を行う機会も多々あり、聴衆からも人気があるとした上で、「そう考えると、どっちが私らしいアイデンティティーを持っているのか」と投げかけ、「人のアイデンティティーとは何か人間とは何かを考えるのが、これから来るロボット社会の本当の意味だと思う」と講演の大きなテーマを提示した。

 技術の象徴・結晶であるロボットから、人間について深く考えていくプレゼンテーションが進行していった。

 石黒教授は「人にしかできないのは、人が人について考えること」と前置きし、ロボットによる英語の講演を披露。日常生活にロボットが溶け込むためには目や手などを持つ人間らしさが必要で、「人間そっくりのロボットから何が考えられるか」と来場者に問いかけた。

 石黒教授は2000年頃から人間らしいロボットの研究を始め、当初のロボビーと呼ばれる機械的なロボットから、人型ロボット、二足歩行のヒューマノイドへと続き、人間の日常生活を助けるロボットの研究を進めてきた。石黒教授は「人型である答えは、人間が生まれながらに人間を認識する脳を持っているから」と話し、誰しもが使い易いことが大前提であることを強調した。

 石黒教授は小学生の頃、大人から「人の気持ちを考えなさい」と言われたことがロボットを考えるきっかけになったと話し、「大人になっても全然分からないし、余計に分からなくなった」と振り返る。ロボット、人工知能の研究から、「今まさに考えるって何か、気持ちって何か、人って何かをまだ考え続けている」と語る。

 ロボットの社会進出の一例として、石黒教授が運営するベンチャー企業がロボットを販売しており、日本の飲食店がロボット導入によって、売上促進や家族の会話が増えることにも貢献しているという。また、日本では多くの家電製品が喋る機能を持っており、生活の一部に溶け込んでいる状況も報告された。

 ロボットの強みの一つとして、多言語での音声認識・スピーチが活用ができることを例に挙げ、人間には簡単にできないことがロボットには可能だとし、国際社会や日常生活の語学勉強などで重宝されると補足した。

 石黒教授は、人間そっくりのアンドロイドを作る理由を「ロボットより人間に興味があるから、ロボットを作る。人間を理解するためのロボット研究をやっている」と言い切り、「ロボットを良くすることが、人間の研究で、技術開発はどんどん人間志向になってきている」と最先端の技術を見つめた。

 今回、石黒教授は、外務省の渡航プログラムで、メキシコ、ブラジル・サンパウロ(聖)、キューバで講演会を開催。2日間の聖市滞在では、初日はサンパウロ総合大学(USP)へ。2日目に同講演会を行った。

2018年4月4日付

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