「新しいブラジルの発見」 安藤みどり

「新しいブラジルの発見」 安藤みどり
安藤みどり 

 サンパウロで過ごすにあたり、人から聞いたり、体験したりしてブラジルとはどのような国か少しずつ分かってきたつもりであった。しかし、ちょうど2年目を終えようとする頃、これまでに得た自分の理解とは異なるブラジルの一面を知ったので書こうと思う。

 私がこれまでの生活で感じてきたブラジル人の特徴の一つに、「怒らない」が挙げられる。たとえば、待ち合わせの時間に遅刻をしても、直前に予定をキャンセルしても怒らない。長蛇の列があるレジの割り込みも怒らない。この3点の事例から怒らないと感じたのは単に、私がされたら怒る事例であるだけで、ここブラジルにおいてはむしろ当たり前なのかもしれない。自己中心と思われる行動も、人々は受け入れる姿勢があるように思う。

 つまり、個性が認められているが故に、自己主張がしやすい環境だと感じる。自己主張をしないと、何か不都合やトラブルに遭った場合は納得のいかない結果となる可能性がある。そのような環境で過ごし、私自身も自分の意見を言いやすくなっているように思う。

 そんな中、ある誕生日会に出席した際、意外なブラジル人の一面を知った。この日は私にとって初めてのブラジル式誕生日会であったが、ブラジル人はフェスタ好きなどのイメージにより、きっとみんなすぐには帰らないであろうと思っていた。しかし自由奔放に私は私の帰りたい時に帰ろうと決めていた。当然、全員がそうするとばかり思っていた。

 ところがそろそろ帰ろうかと思っていたところに、一緒のテーブルに座っていた数人が「帰りたいがまだ誰も帰ってないよね」と話し出した。他のテーブルを見渡し、誰か帰った人はいないかと探している。帰りたい時に帰らないのかと尋ねると、口を揃えて1番目の帰宅者になりたくないと答えた。前述の事例からすると、遠慮などせず自由に帰ると思っていたブラジル人が周りを伺っていることに非常に驚いた。    

 日本とブラジルは異なる点が多いが、帰りたくても帰れないという状況はどこか日本のようだと思えた。後日、同席した友人に私が驚いたこの話をすると、本来は自由に帰るのだが、今回の誕生日会には複数のグループが参加しており、知らない人同士が多くいたために起こったのだそう。

 理由は、自分が帰ろうとしたことで他の人まで帰宅し出してしまい、主催者に悪いからだと。状況によって、人のことを気遣い、配慮するということを教えて貰った。

 今回の誕生日会の出来事は、私が抱いていたブラジルのイメージに新たな一面を添えた。この先、どんな新しいブラジルを発見するだろうか。楽しみに過ごしたい。

2018年10月26日付

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