「老い」について考える 第2部①

「憩の園」施設の外観

日系高齢者福祉施設の「憩の園」

読者の皆さんがこの先年老いて、施設での介護を必要とした時、果たしてどのような環境を欲するだろうか。日系人の中には、ブラジルに長く住んでいても、心の古里を「日本」とする人が数多くいる。そうした人たちの受け皿となってきたのが、日系介護福祉施設である。日系老人たちが日本語でおしゃべりをして、安心しながら生活できる環境を日系コロニアは作り上げ維持してきた。しかし、コロニア全体の高齢化によって、これら日系介護福祉施設は今、岐路に立たされようとしている。そこには数多くの問題が立ちはだかり、運営も年々難しくなってきている。シリーズ「老い」第2部では、救済会「憩の園」を取り上げ、コロニアの老いがもたらす問題を考えていきたい。(毛利健人記者)

まず最初に、憩の園とはどのような施設なのか、簡単に歴史と概要を追ってみたい。
憩の園の運営母体、「社会福祉法人救済会」の前身となる「聖市カトリック日本人救済会」は1942年に設立された。救済会がカトリック教会からグアルーリョスの土地を譲り受け、憩の園を開設したのは58年のこと。当時はブラジルの医療レベルが低く、平均寿命も短かったために健康な50~60歳代の日系人も働く場所が見つからなかった。そこで、そういった人々に食事と住居、そして職を提供する場として当初、憩の園は発足した。

しかし、次第に入居者が高齢化するにしたがって、憩の園の役割も変化していった。需要の増加に伴い、施設を増築していき、87年には要介護者に対応する特養ホームを造った。今では入居者の平均年齢は87歳で、過半数が要介護者だ。昔のように趣味を楽しめる入居者はどんどんと減り、もはや施設内の工芸室や手芸室が使われることはないという。
憩の園の特色は、日本のような環境を目指している点にある。日本語対応が可能なスタッフが常駐し、毎食白米にみそ汁、時には刺し身などの和食も出され、日本の歌などの娯楽を楽しめる。現在も入居者はすべてが日系人であり、うち8割が1世、2割が2世となっている。

これまで数多くの日系高齢者たちを支えてきた憩の園。しかし、現場職員の一人は「将来、資金などがどうなるかは分からない」と不安を隠さない。
その言葉の裏側には、日系コロニアの老化・縮小のしわ寄せが、運営を困窮させている現実がある。(つづく)

2013年5月15日付

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