「老い」について考える 第2部②

施設の老朽化が進み、廊下も塗装のハゲが目立った

1世の会員減少で苦しい財政負担

現在の憩の園には、半介護者が17人(20%)、準要介護者が15人(18%)、そして要介護者が52人(62%)入居している。
それぞれ一人あたりの生活に月々必要な経費を見ると、半介護老人が5SM(サラリオ・ミニモ=公定最低給料)、準要介護者が6SM、要介護者が8SMとなっており、特に過半数を占める要介護者に必要な経費はとても大きいということが分かる。
重い財政負担に対し、憩の園の財政状況はとても盤石とは言えない状態にある。1990年に8180人居た憩の園の賛助会員は2011年には794人と、この20年で10分の1以下に減ってしまった。

この原因として、1世の高齢化があるという。1世の協力的な会員たちは、地方においても積極的に会員勧誘を行い、また自らの足で会員たちの家を訪れ、会費集めに動いてくれていた。ところが、こういった1世会員たちの高齢化に従い、従来のような会費の直接集金は難しくなり、会費は銀行振り込み制となった。途端に、賛助会員の数は急激に減少してしまった。
また、1世には「弱者の立場に立たされた同胞を助けよう」という思いがあったものの、2世、3世の世代にはそうした日系コミュニティーへの帰属意識が薄く、なかなか次世代の賛助会員を集めるのは難しいという。現在、従来の日系人に対するサービスに加えて地域のブラジル人への福祉サービスも始めているが、ブラジル人の会員集めはさらに難しいようだ。

されど、入居者に園費負担を求めるのも簡単ではない。例えば、要介護者52人のうち、必要経費のすべてを自己負担している入居者はわずかに1人だけ。1割~3割のみ負担している入居者が29人と大半を占め、一切負担をしていない入居者も4人いる。結果として、全体必要経費のうち4割程度しか入居者から得られていないのが現状である。

実際、必要経費の一部しか負担していない入居者の家族が、高級外車に乗って憩の園へ面会に訪れることもあるという。しかし、憩の園が社会福祉法人による経営であり、行政から税制優遇を受けている以上、一切の営利活動は認められていない。入居者にも「寄付」の形で園費負担を求めるほかはなく、一切の強制はできない。
本来、憩の園では賛助会員の会費と入居者からの寄付金のみでの自立経営を目指している。しかし、現在これらの収入は支出に対して7割弱程度。残りの3割はイベントを開くなどして補っているが、経営が苦しいことに変わりはない。(つづく、毛利健人記者)

2013年5月16日付

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