「老い」について考える 第3部①

今年3月30日に大阪で行われた終活カウンセラー初級検定で。講師は武藤頼胡さん(終活カウンセラー協会提供)

~日本のエンディング風景~
「終活」への高い注目

第1部、第2部ではブラジル国内の孤老問題、日系福祉施設の現状に触れてきた。第3部では、元ペルー新報編集長で現在は日本に在住し、雑誌「SOGI」のライターとして活動する一方、曹洞宗僧侶でもある太田宏人氏に「日本のエンディング風景」を紹介してもらう。(編集部)

現在の日本で就活といえば、主に大学生による就職活動の略語だ。ところが最近では、「終」活という言葉のほうがメディアをにぎわしている。
終活とは、一般社団法人「終活カウンセラー協会」の代表理事を務める武藤頼胡さんによると「これまでの人生を振り返り、自分の終えんを見つめ、今、そしてこれからの人生をよりよく生きるための活動」。つまり、「死ぬための準備」ではない。この前向きな姿勢に共感し、40~50代にも終活は浸透し始めている。人生のエンディングに関係する生命保険、尊厳死、遺言、遺産、葬儀、埋葬法や墓などの死後のこと、遺品整理、家系図つくりなどを学ぶ終活セミナーは、各地で人気だ。

終活のツール(道具)として取り上げられることが多い「エンディングノート」の認知度も高まり、30~40代の女性向けにデザインされたエンディングノート「Never Ending Note~未来に残すエンディングノート~」(集英社/2012年10月発売)も好調に売れている。
エンディングノートは遺言とは違い、法的効力はない。だが、自分の意思(遺志)を気軽に表明しておけるだけではなく、人生を振り返りながら、生命保険の記録や葬儀に(どんな関係性から)誰を呼ぶのか、形見分けをどうするのかなどを記入できるのが特徴だ。前出の武藤さんは、「人生の棚卸しノート」と表現している。

◆終活がなぜ人気なのか

終活人気の背景には、日本が超高齢社会であることが関係している。WHO(世界保健機関)によれば、超高齢社会とは65歳以上の人口が21%以上という状態である。
平成24年(2012年)現在の統計では24・1%である。約4人に1人が高齢者。これが日本の現状だ。
しかも平成22年(10年)実施の国勢調査によると日本の全世帯5195万504のうち、約3割の1678万5000世帯が単身世帯である。そして、さらにその約3割の479万768世帯が65歳以上の単身世帯。65歳以上の夫婦2人だけの世帯は986万4505世帯にもなる。
単身もしくは夫婦だけの高齢世帯では、自分が死ぬ時に家族や親類等に迷惑を掛けたくない、と思っている人が多いようだ。そのため、自分の終えんを事細かに指示しておきたい(≒終活をしておきたい)、という心理があるのかもしれない。

だが、終活をするためには認知症になったり、例えばがんが進行して、判断力が低下したりしてからでは遅い。家のどこに保管したか分からないような各種の古い書類を探し出してエンディングノートに記入するには体力も必要だ。
先ほど、日本は超高齢社会であると述べたが、実際には65~70歳はまだまだ元気な人が多い。そして、時間に余裕のある人が大多数である。「元気で時間がある」という社会階層は、かつては存在しなかった。
この人たちこそ、終活人気を支えている人々である。

では、これらの「新しい高齢者」が求める葬祭の形とはどんなものであろうか。ちなみに、私も本年4月、終活カウンセラー初級に認定された。僧侶、終活カウンセラー、そして長年葬儀業界の業界誌で記者をした者の立場から考えてみたい。(つづく、太田宏人)

2013年5月21日付

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