「香山文庫」ウェブサイト完成 パルジーニョの吉田さんが立ち上げ

「香山文庫」ウェブサイト完成 パルジーニョの吉田さんが立ち上げ
吉田さんの自宅にある「香川文庫」の一部

貴重な蔵書整理のボランティア募り

「香山文庫」ウェブサイト完成 パルジーニョの吉田さんが立ち上げ
在りし日の香山氏(同ウェブサイトから)
 サンパウロ(聖)州イビウナ市に住んでいた故・香山(かやま)栄一氏(今年7月に90歳で死去)が数十年の歳月をかけて収集した日本移民関連蔵書「香山文庫」のウェブサイトがこのほど、5年の月日を費やして完成した。同サイトを立ち上げたのは、聖州パルジーニョ市に住む広島県出身の日本人・吉田恭子さん。生前に香山氏から引き継いだ貴重な蔵書の存在を多くの人に知ってほしいとの思いを込め、同文庫の整理などを手伝うボランティアを募っている。

 吉田さんは日本で商社勤務、英語教師などを経て、米国に留学。現在の夫であるブラジル人のエジソンさんとアメリカで知り合い、日本に帰国生活後に2009年から渡伯して、聖市から約200キロ離れたパルジーニョに住んでいる。渡伯当初に中国新聞の海外リポーターとして活動する中、資料集めの過程で香山氏と出会ったという。

 福岡県生まれの香山氏は、1932年に6歳で大阪府の尋常高等小学校に入学したが、同年12月、一家で渡伯。翌33年に聖州チエテ移住地(現ペレイラ・バレット)に入植し、アラサツーバ、マット・グロッソ、聖市、サンロッケなどを転々とし、71年にイビウナに落ち着いた。その間、農業生産や聖市でのサラリーマン活動などを行ってきたが、72年に原因不明の大病を患ったことで車椅子生活を余儀なくされた。その後、77年に趣味の読書が高じて「香川文庫」を作ることに。自身でも自分史『わが道―ブラジル移民準二世の半生―(95年)』、『思い出で綴るチエテ郷土史 拓魂のうた(97年)』等を出版・編纂し、2010年には知人の岡井二郎氏と共同で『北パラナ発展史』も編纂している。

 吉田さんが香山氏と出会った頃は当人が既に85歳になっており、「香山文庫」の引き継ぎを何度も依頼されたという。

 「香山さんに(文庫の引き継ぎを)頼まれた時はあまり深く考えていませんでしたが、香山さんは自分の行く先が限られていることや子供たちがポルトガル語しか分からないこと、(聖市リベルダーデ区の)文協の移民史料館に預けても陽の目を見ずに埋もれてしまうことを危惧され、私に何度も頼まれました」と吉田さんは、香山氏から思いを持って文庫の引き継ぎを依頼された経緯を説明する。

 日本人・日系人がほとんどいないパルジーニョ市の広い高台の敷地で夫のエジソンさんと暮らす吉田さんに、香山氏は「ちょっと多めに本をもらったと思えばいい。本を置く場所ぐらいあるだろう」と説得。コンピューターのシステム・エンジニアとして働く夫のエジソンさんから「インターネット上にサイトを作れば、広く一般の人たちに『香山文庫』のことを知ってもらえる」と助言を受けた吉田さんは、2011年に香山氏の蔵書を受け継ぎ、自身のライフワークとして「香川文庫」のウェブサイトを5年の歳月をかけて立ち上げた。

 吉田さんが香川氏から引き継いだ「香山文庫」は現在、日本語書籍659冊、日ポ両語書籍69冊、ポ語書籍83冊のほか、中南米をはじめとする米州の日系社会関連書籍が約40冊と計約850冊が収蔵されている。

 吉田さんは「(パルジーニョの)片田舎で埋もれさせることなく、数多くの皆様に『香川文庫』の存在を知っていただき、利用していただきたいと思いますが、大変貴重な蔵書ですので貸し出しはできません。今後は少しずつ蔵書の分類や、表紙を撮影したり書籍の簡単な抄録を書いたり整理し、インターネットでの検索もできればと思っています。しかし、私一人ではできる仕事が限られますので、できれば日本から来る若い学生さんや『香川文庫』に興味や思いのある方にボランティアとして作業を手伝っていただければ」と協力を呼びかけている。

 「香川文庫」整理のボランティア希望者及び問い合わせは、吉田さんのEメール(wabicafe@gmail.com)で。香川文庫のウェブサイトは(http://wabicafe.com.br/kayama/)

2016年12月15日付

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