【特集】ブラジル日本移民110周年プレイベント 歌で紡ぐ両国の絆

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両コーラスグループが一緒に「上を向いて歩こう」「ふるさと」「Os Escravos de Jó」を合唱した

文協女声コーラス 麻生童謡をうたう会
日伯国際交流コーラスコンサート

【特集】ブラジル日本移民110周年プレイベント 歌で紡ぐ両国の絆
麻生童謡をうたう会が日本の童謡を披露

 ブラジル日本文化福祉協会(呉屋春美会長)は、来年のブラジル日本移民110周年を盛り上げるため、日本の文化団体招へいを行っている。その一つが文協女声コーラス・グループと日本のコーラス・グループのジョイント・コンサート開催だ。これに呼応したのが神奈川県川崎市で25年にわたり日本に伝わる童謡・唱歌・伝承行事を次世代に伝え残すことを目的として活動している「麻生童謡をうたう会」(菅原敬子代表者)だった。11日午後、両コーラス・グループは文協小講堂で、ブラジル日本移民110周年プレイベントとして「日伯国際交流コーラスコンサート」を開催し、会場を埋めた観客は楽しいひと時を過ごした。

 午後3時半に開場の時には、場内を埋め尽くす観客が殺到。約200人が入場し、追加の椅子まで用意された。

 開会に先立ち、文協の松尾治第一副会長があいさつに立ち、「神奈川県川崎市の『麻生童謡をうたう会』の皆さんをこのブラジルにお迎えできたことを嬉しく思います」と歓迎の言葉を述べた。続けて「日本移民110周年事業の準備段階で、日本とブラジルの女声コーラスグループが一つになって交流コンサートを開くのは意義がある。美しい歌声に感動する午後をお過ごし下さい」と観客に呼びかけた。

 第1部では文協コーラスグループ31人が登壇。始めに指導者で指揮者の吉田輝男氏が「ブラジルは歌で大人と子供の区別がない。しかし、今回は童謡の会の皆さんを迎えたので、私たちも子供の心を歌った楽曲を歌いたいと思います」とあいさつ、ブラジルの民族曲7曲を披露した。はじめに「Boi Barroso」など2曲、続いて「Fui no Itororó」など3曲をパートごとに隊列を変えながら歌唱。最後の2曲は定番のダンス曲「Samba Le-Lê」などを溌剌(はつらつ)とした歌声で歌いあげた。

 続く第2部では「麻生童謡をうたう会」が日本の童謡10曲を披露した。歌唱に先立ちあいさつに立った菅原代表は「文協の呉屋会長や吉田先生などのご努力でこのステージに立てます。心より感謝申し上げます」と関係者へ謝辞を述べ、「文協コーラスの皆さんが、日本の歌を中心に毎週練習され、日本の歌が歌い継がれていることに感動しています。私たちも日本に伝わる童謡や唱歌を次世代に伝えることを目的に活動しています。来年は文協コーラスの皆さんを川崎に迎えられることを楽しみにしております」と来年への期待を語った。

 登壇したうたう会一行は、揃いのピンク色の上着に桜の花の枝と小さな鯉のぼりを手に持ち、日本の童謡10曲を斉唱した。1曲目の「さくらさくら」ではゆったりとした前半から、後半は少しテンポを上げ軽快な歌声を披露。その後も「鯉のぼり」「赤とんぼ」「荒城の月」など有名な童謡を次々と歌い、観客も一行の歌唱に合わせ口ずさんだ。

 全10曲を歌い終えると一行は一度退場。その間、指揮者の山本佳世さんが石田洋子さんの伴奏に合わせ「叱られて」と「この道」を披露し、その後はっぴに着替えた一行がステージに戻り「炭坑節」と「東京音頭」を踊った。

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ブラジルの民族曲を歌う文協女声コーラース・グループ

 第3部では両コーラスグループが共演し、日本の楽曲「上を向いて歩こう」と伯国の楽曲「Os Escravos de Jó」をそれぞれの指揮と伴奏で披露した。最後に「ふるさと」を出演者と会場が一緒に合唱、フィナーレになった。

 コーラスの歌声に目を潤ませていた高野キミ子さん(熊本、71)は「こんなに素敵な曲がある国を故郷に持っていることに誇りを感じた。本当に感動しました」と感激し、大羽敬子さん(北海道、72)は「なつかしい気持ちになって歌を聴いていました。幼い頃に聴いた歌を耳にして、昔や故郷のことを思い出しました」と笑顔を見せた。

 

音楽が結んだ連帯感 ブラジル童謡の合唱に酔いしれる

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「Os Escravos de Jó」のふりを麻生童謡をうたう会に指導する吉田氏(左端)

 文協コーラス・グループはこれまで海外グループとの音楽交流に力を注いできた。そのため、南米各国、日本、ヨーロッパなど各国で地元のコーラス・グループとジョイント・コンサートを実施している。今回の「麻生童謡をうたう会」の菅原代表に文協コーラスの指導者・吉田氏は「ブラジルの簡単な曲を一緒に歌ってみませんか」と提案した。コンサートのわずか2カ月前だった。菅原さんも「できるかしら、でもやってみましょう」と同意し、ブラジルの代表的な童謡「Os Escravos de Jó」を合唱することが決まった。

 吉田氏は、ポルトガル語の歌詞の下にカタカナで読み方を書いた楽譜を送り、菅原さんたちは、それで練習した。「本当にうまく歌えるのか、不安だったんですよ」――。

 コンサート当日の午後2時半から会場の文協小講堂で両コーラスの団員が本番前の合同練習を行った。

 始めに「上を向いて歩こう」と「ふるさと」を歌い、声を合わせた。伯国の楽曲「Os Escravos de Jó」の練習では吉田氏が歌詞の内容を説明。その内容に合わせ「遊びを取り入れましょう」と話し、左手を握って右手に置き、その手を右隣の人に渡すという振り付けをした。3列に並んだ団員らが拍子に合わせてボールを隣の人に渡すという動きも加えられた。

 練習を終えた「麻生童謡をうたう会」の山室みゆきさんは「吉田先生は厳しい先生と聞いていた。指導はすごく熱心で一生懸命。どういうことがやりたいのかよく分かった。文協コーラスの人とも声が重なる感じがよく分かり、とても楽しい練習になった」と語った。

 うたう会の菅原代表は「今回のために2カ月間練習してきた。ポルトガル語の曲は5、6回練習してすぐ覚えました。海外公演で各国の楽曲を何曲も歌っているので、もっと歌いたかったくらいです」と笑みを浮かべた。

 文協コーラスの吉田氏は「音楽で交流するのはとても楽しい。ブラジルの団員も日本のコーラスの人と歌声を合わすことができ楽しそうだった。日本の皆さんにはブラジル人になってもらうつもりで指導しました」と語った。

 

菅原代表に聖市議会の感謝状 団員には文協から感謝状贈呈

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桂川氏からサンパウロ市議会表彰を受ける菅原代表(写真左)

 今回の日伯国際交流コーラスコンサートのために来伯した「麻生童謡をうたう会」一行に感謝の気持ちを表そうとブラジル日本文化福祉協会はサンパウロ市議会に働きかけ、同市議会から菅原敬子代表に感謝状を贈呈した。第3部の合同コーラスが終わった後、サンパウロ市議会を代表して野村アウレリオ市議の補佐官桂川富夫氏が代理で菅原代表に音楽を通じて両国交流に貢献したことを称えた感謝状を手渡した。

 また、団員一人ひとりにもブラジル日本文化福祉協会から感謝状が贈られた。「歌を通じた交流は国境を越え、舞台と客席が一体となった」と書かれた感謝状を松尾治文協副会長が団員を代表した菅原さんに手渡した。

 一行は、「こんなに素晴らしい感謝状をいただき感激しています。日系社会の皆さんと交流ができ、本当に良かった」と思わぬプレゼントに大喜びの面持ちだった。

 

観客に移民110周年記念のPIN プレゼントし、祭典を盛り上げ

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 文協コーラス委員会は、この合唱祭に来場した観客全員に「ブラジル日本移民110周年記念祭典委員会」が作成したロゴマーク入りの記念PINをプレゼントした。舞台が終わる直前、同委員会の三木マリエ委員長は、「皆さん、今日はありがとう!出口で移民110周年記念のPINを受け取ってください。このPINを着けて来年の式典を盛り上げましょう!」と呼びかけた。

 三木委員長は、「移民110周年記念祭典委員会は活動資金調達と宣伝のためにPINを販売しています。私たちも少しでもお役に立ちたいという思いから協力したいと考えたのです」と説明した。

 このPINに描かれているのは移民110周年のロゴマーク。ブラジルで活躍する著名な日本人画家・若林和男さんがデザインしたもので、若林さんが「ブラジルにお世話になった気持ちを表しました」と説明するように日本の象徴である鶴がデザインされている。一羽は日本の国旗をイメージした赤、もう一羽はブラジルの国旗をイメージして黄色地に緑と青となっており、両国間の交流を表現している。

 プレゼントされた観客の一人は、「わあ、綺麗ね。みんなに宣伝しなきゃね」と早速ブラウスにPINを着けて家路を急いだ。

お礼 麻生童謡をうたう会 代表・菅原 敬子

 私たちは25年間、日本に伝わる童謡・唱歌・伝承行事を次世代に伝え残すことを目的として活動を続けてまいりました。この間、世界各地でコーラスを通じて交流してきました。そして、その集大成として、世界で最大の日系社会のあるブラジルでの公演を希望しておりました。このたびはブラジル日本文化福祉協会からお招きを受けてサンパウロまでやってくることができましたことを光栄に思っております。

 しかも、素晴らしい日系女性の方々のコーラスグループとジョイント・コンサートができましたことは団員一同、望外の喜びでした。これをご縁に来年皆様に日本に来ていただき、再びジョイント・コンサートができますことを大変楽しみにしております。

 本当にありがとうございました。心から御礼申し上げます。

 二〇一七年十一月十四日

 

麻生童謡をうたう会 ブラジル親善訪問団
代表  菅原 敬子
指揮者 山本 佳世 
伴奏者 石田 洋子
団員  片山 田鶴子
    糸井 千恵子  
    松澤 カヲル
    藤原 克子
    常木 初野
    佐藤 須賀子  
    齋藤 多美子
    白井 志津子  
    山室 みゆき
    馬場 美智子
    保崎 万里
     (順不同)

2017年11月14日付

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