【移民110周年特集】感謝と希望、夢の実現に向けて 菊地 義治

ブラジル日本移民110周年記念に寄せて

ブラジル日本移民110周年記念祭典委員会 実行委員長 菊地 義治

【移民110周年】感謝と希望、夢の実現に向けて 菊地 義治

 今年2018年はブラジル日本移民110周年の記念すべき年に当たり、6月18日は笠戸丸がサントス港に入港し、日本移民781名がブラジルの地に第一歩を記した日になります。

 戦前、戦後を通じて25万人が移住され、幾多の困難を克服され、今日の190万人の日系社会を築いてこられました。現在では先駆移民の正直、努力、勤勉の功績により、日系人はブラジル社会のあらゆる分野で信用と信頼を高め、輝かしい発展と繁栄をしております。

 日系社会は戦後の混乱期後の1958年、日本の皇室より三笠宮様をお迎えして戦後の復興とブラジル日本移民50周年記念式典の開催と合わせ、日本の伝統建築である日本館が建設され、イビラプエラ公園内に記念事業として残されました。これは日系社会の当時の山本喜誉司サンパウロ日本文化協会創立会長等の働きによるものです。又、ブラジル日本文化協会の設立と日系社会の中心的役割を果たす本部会館の建設もされました。

 其の後、10年の節目ごとに皇族を代表して皇太子殿下の御来伯を仰ぎ、記念式典を開催してきましたが、60周年には皇太子御来伯記念の講堂建設事業が、70周年にはパカエンブー競技場に於いて7万人を超える盛大な記念式典がガイゼル大統領の出席も得て開催され、移民史料館を建設、移民史の保存と日系社会の歴史を後世に伝える事業を残されました。

 移民80周年記念祭典は秋篠宮様はじめ、日本政府関係者、サルネイ大統領のご臨席を得て盛大に開催され、日伯両国の移民の最後の盛大な記念式典と謳われました。そして日系社会は総力を結集して、日伯友好病院建設の記念事業を完成されました。

 移民90周年記念祭典前年の97年には、天皇・皇后両陛下がブラジル各地を訪問され、日伯友好親善の絆を強化され、日系社会の繁栄を強固なものとされました。此の時は移住高齢化社会の対応にあけぼの養護老人ホームを日本政府の援助で建設されました。

 2008年の移住100周年は祭典の地をサンボドロモ会場に移転され、皇室より皇太子殿下の御臨席を賜り、移住100周年記念祭典が盛大に行なわれ、ブラジル各国の移民史の中では特別の扱いで年間を通して日本移民の果たした功績をテレビ、新聞、雑誌にて報道され、先駆移民をはじめ、日本企業の進出や日伯合同プロジェクトの成功例、日系社会の特集号が報道され、他の民族には見られない企画にて大いに紹介されました。

 これも偏に移住者の農業面をはじめ日本企業の進出によりブラジルの商工業、経済面にて多大な貢献をされた実績であると思います。初期の移住者が日本人会組織運営や学校建設に力を入れ、教育と日本文化の継承に努力され、移住者の地位の向上や厚生福祉、相互理解に努めて来られた類稀な日本の精神文化の賜物と思われます。

 現在の日系社会は高齢化社会になり一世移民は勿論、二世、三世も高齢化が急速に進み、財政支援の面で見ても100周年以降、大きく変わりつつあります。しかし、世界史の中でもブラジル日本移民は大きく評価される時代に来ております。コチア産業協同組合、南伯組合、南銀や日本国との巨大共同プロジェクトはセラード開発事業で中央・北伯の乾燥地帯が開発され、巨大な未開の地が世界の穀倉地帯に大きく変貌いたしました。これは日伯合弁事業は勿論、移住者の率先した努力と信用なくしては成功はなかったものと思います。

 今や移住者、その子孫、及び日本政府もブラジル政府との友好親善交流を旨とした日系社会の信頼度を大いに活用した両国間の政治経済文化の強化が必要とされる時代に来ております。ジャパン・ハウスの人気と成功例を見ても他国では見られない日系社会の実績に裏打ちされた、単なる投資だけでは考えられない大きな力があります。これは日系社会の長年に亘るブラジルで築いて来られた信用です。

 110周年は日伯両国にとって最重要課題があります。日系社会の活性化で変わり行く世代交代の波に合わせて日本への就労問題、四世ビザや日本語普及、日系社会の人材育成と日伯の人材交流事業、日本の伝統文化や芸能その他の継承等を守り抜く団体の弱体化の現れであります。

 ブラジルに定着した日本文化、例えば日本祭りは祭りの開催を通して日系社会に新しい県人会のあり方や家族参加やボランティア育成があり、見事な成功例ですが、今や全伯に広がっております。日本の伝統文化芸能はじめ日本語普及や精神文化も含めた日本の良き伝統文化の定着と安定がありますが、その反面、組織や福祉団体の経営不振が囁かれております現状に注意を払う必要があります。一部の組織を除いては日系社会の数の上では繁栄されているように見えますが組織の活性化、日本文化の継承、日系リーダーの育成、将来への日系社会の布石をどうするか。財政の健全化、合理化等、新しい日系社会の構築・再生に向けて、今、まさに行動を起こす時が来ております。

 日本でも有識者による委員会が結成され、移住者子弟の関係者との連携強化が謳われております。一過性のプロジェクトではなく、ブラジル日系社会、ブラジル国と日本の両国の蓄積された良好な趣旨を大切に今後の将来的な日系社会の基盤を、多目的総合センター的なものや日伯学園、医療福祉の統廃合や移民資料の問題等、日系社会のブラジル社会に果たす役割を重要視させ、自立運営の共同合理化、組織の改革が必要で日系社会の軌道再生の時期を見逃さないためにも各自が社会的責任を考慮して手遅れにならないよう、日本政府も今後、日系社会と連携・結束して、今、まさに再活性化の支援協力が必要とされる時と思います。日本人の子孫として日本と友好親善の基となる大切な各事業を今、もう一度、再確認する時で110周年は150年、200年に向けての大切な一歩なのです。悔いの残らない次世代への日伯の懸け橋を築いて行こうではありませんか。

 日伯移住110周年、感謝と希望、夢の実現に向けて。

2018年6年23日付

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