【移民110周年特集】移民収容所と移民祭の歴史 子弟への祖先の記録提供活動も

【移民110周年特集】移民収容所と移民祭の歴史 子弟への祖先の記録提供活動も
移民博物館(旧移民収容所)の外観

 サンパウロ(聖)市モッカ区の聖州立移民博物館は、各国移民がサントス港に到着後、入植地に向かう前に収容された旧移民収容所の跡地となっている。現在は博物館としてだけでなく、移民の歴史調査や、子弟に自分たちの祖先の記録提供も行っている。9、10、16日には、同館と同州文化局共催の「第23回移民祭(Festa do Imigrante)」が同館内で開催された。同祭には、例年2万人以上が来場し、50カ国以上の各国移民たちが郷土料理や伝統芸能などの文化を披露している。

 同館は、1820年以降に渡伯した各国移民の歴史保存・調査のために1998年に開館。各国からの移民が、祖国を出発するまでどのような生活・準備をしていたかや、移民希望者を募るために各国内で流されたプロバガンダ(告知)のモニター展示に加えて、日本人移民の「こけし」など各国移民が持ち込んだ品も展示されている。また、時代を追いながら、聖市の移民数の推移を見ることもできる。

 祖国出発前の様子として、日本人移民が出航前に滞在した1928年開館の神戸移民収容所(現・海外移住と文化の交流センター)の歴史も紹介されている。

 同館は、移民収容所として、1887年から1978年までに、日本、イタリア、オランダ、ドイツなどのヨーロッパ諸国、シリア、レバノン中東諸国の約80カ国とブラジルの他州(30年以降)から250万人を超える移民を迎え入れてきた場所で、移民がサントス港から収容所までの足として利用していた列車(蒸気機関車部分は22年製)を再現した「移民列車」にも乗ることができる。

 同館内では、聖州政府が移民の子弟を対象に、上陸証明書の発行や、渡航年や船名を頼りに移住者名を検索できる「移民名簿」のデータも整備されている。

 2008年には、日本人移民100周年を記念して「日本移民100周年セミナー」が開催されるなど、各国移民の歴史を一般に発信する機会も適時設けている。

 同館は2011~14年頃までの改装によって、展示や内装が一新され、現在も移民や難民を受け入れているといい、シャワー設備などを完備した簡易宿舎として、無料の食事まで提供されているそうだ。

 現在、火から土曜日は午前9時から午後5時まで、日曜日は午前10時から午後5時まで開館。移民列車は、同館と最寄りの地下鉄駅「Bresser Mooca」間を約30分かけて往復し、車内では当時の様子を解説するガイドも付き、土、日曜、祝日に1日5回運行されている。

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【移民110周年特集】移民収容所と移民祭の歴史 子弟への祖先の記録提供活動も
運行している蒸気機関車

 同館内で毎年開催されている移民祭は、今年で23回目を迎えた。各国移民の子弟たちが、「移民収容所からブラジル全土に広がっていった自分たちの文化や歴史を伝えたい」という意志で立ち上げられた同祭は、各国移民1世と子弟たちとの交流の場にもなっているという。

 今年の初日となるはずだった3日は、トラック運転手らの抗議行動によって開催できず、延期されて9日に初日を迎えた。

 同祭では40カ国以上の移民たちが母国の郷土料理や伝統芸能などの文化を、各国コミュニティの枠を超えて披露。今年の会場では、44カ国の郷土料理の屋台に加えて、20カ国の民族工芸品が販売された。

 今年から新設された食料品販売コーナーでは、日本やスペイン、イタリア、ポルトガル、シリアの食品が販売され、好評を博した。

 舞台では、各国の伝統芸能グループによる民族舞踊や民謡など46演目の伝統芸能が披露され、サンミゲル・パウリスタ市の「天竜和太鼓」が舞台に登場し、演奏で会場を盛り上げた。

 また、子ども向けに世界の歴史を紹介し、各国の伝統芸能に関するワークショップも開催され、「日本の神話」を子どもたちに紹介。民族料理の実演講習「サボール・パウリスタ」では、味噌ラーメンの作り方が紹介された。

2018年6月23日付

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