【2017年新春特集】注目される天皇の退位問題

注目される天皇の退位問題
皇室御一家(御所にて)【写真提供:宮内庁】

注目される天皇の退位問題
宮殿南庭にて【写真提供:宮内庁】
 天皇陛下は今年83歳を迎えられた。一般の人なら引退し、余生を趣味三昧で過ごしている年齢である。陛下も体力に自信がなくなったと、退位を表明された。退位には国民の大半が賛意を表明している。ところが天皇退位をめぐり議論が百出しており、陛下の希望は簡単には叶えられそうもない。

 現在の皇室典範には摂政の規定はあっても、退位の規定がない。摂政も「病気などで公務に支障を来す場合」とあるだけで、天皇の身分は基本的に終身制である。陛下のご意向は、退位制度を設けて欲しい、というものである。この陛下のご意向に対し、識者からは多くの意見が出されている。

 その意見は、大きく3つに集約できる。最も多くの国民が支持しているのは、皇室典範を改正して、全ての天皇が退位できるシステムにすることである。これには53%(NHKの世論調査)の国民が支持している。次いで特例法を設け、今上陛下のみの退位を認めるという方法である。これは25%(NHK調査)の国民に支持され、政府の意向もここにある。最後は皇室典範を改正することなく現在の制度(摂政を置き)で退位を認めるというもので、こちらは11%(NHK調査)の支持しか無い。

 こうした意見の違いは、天皇制度をどう見るかの違いから来ているようだ。皇室典範を改正し、今後天皇が退位出来るようにする意見は、陛下を人間と考えていることにある。退位を支持する国民の多くもまた、陛下も人間と考え、高齢になられたら退位を認めるべきだとしている。

 一方、今上陛下のみの退位を考える,あるいは退位を認めない意見は、天皇の存在は日本国の成り立ちの根幹と考える、つまり上皇(退位した天皇)と天皇がいれば、国民統合の象徴が2分され、国内にまとまりがなくなると見るのだ。さらに陛下のお言葉によって政府が動くとなれば、憲法違反の疑いがある、とする指摘もある。

 「天皇退位」は百家争鳴の感で、短期間で決着はつきそうもない。こうした問題以外にも、細かな問題が指摘されている。皇室典範を改正するにしても、退位の年齢をどう決めるのか、退位後の呼称をどうするのか、年齢を定めた場合は天皇の意思を無視して退位させるのか、退位した天皇と現天皇の間で権力争いが起きないか、と上げれば切りが無い。こうした問題を全てクリアして初めて退位が認められることになる。

 陛下は「高齢で体力の衰えを覚えるようになり、象徴の努めを果たすのが難しくなるのではないか」との考えを表明されている。83歳というご高齢を思うと、早く重責から解放してあげたい、と国民の大多数が考えるのは当然だろう。陛下は責任感が強く、公務の手を抜かれることがないという。体力の衰えを自覚された今、このままでは象徴の仕事が果たせないと強くお感じになったのに違いない。

 上智大学名誉教授の渡部昇一氏は「天皇の仕事は国のため国民のため祈ること。宮中で祈るだけで十分だ」との意見の一方、ジャーナリストの岩井克己氏のような「天皇の終身在位は残酷な制度だ」との意見もある。どのような結末が用意されているのか。政府は陛下のご意向に添うのではなく特例法を設け、今上陛下の退位だけを認める方向で乗り切る意向だと伝えられている。

2017年1月1日付

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