【2019年新春特集】ごあいさつ サンパウロ新聞・編集局長 鈴木雅夫

2019年 新春特集号
ごあいさつ サンパウロ新聞・編集局長 鈴木雅夫

 あけましておめでとうございます

 皆様には長年にわたりサンパウロ新聞を愛読していただきましたが、すでに社告でお知らせしましたように、この新年号を最後に廃刊となります。

 私ども邦字紙は、日系コロニアと運命共同体として72年間、新聞の発刊のみならず、様々な活動を展開してきました。新聞の大きな役割は、微力ではありましたが、オピニオンリーダーとして日系コロニアの健全な発展を願い、その道筋をつけたと自負しております。

 日系コロニアは1世を中心とした社会でした。ところが、この社会も1世から2世、3世へと世代交代が進み、コミュニダーデ・ジャポネスと呼ばれる社会へと変貌を遂げました。この変化に対応するだけの力を蓄えられず、紙面刷新が十分に出来ませんでした。

 ブラジル日本移民100周年の前後から新聞としての大きな使命は、ブラジルに移住した方々や初期の2世の方々の営みを、ブラジルのみならず日本にも知らせ、残すことだと考え、個人に焦点を当てた移民個人史を残すことに力を注いできました。まだまだやり残したことが多く、心残りです。

 弊紙はブラジルと日本の交流に軸足を置き、社是としてきました。特に、日本文化をブラジルに紹介することを心がけてきました。詳細については、昨年12月22日付紙面に「サンパウロ新聞事業史」を掲載しましたのでご覧ください。皆様に思い出深い記憶として残っている事業を思い出していただけるのではないかと思います。

 弊紙の創刊70周年記念としてブラジルで根付いた日本文化団体の皆様に実施していただいた「コロニア芸能界が贈るありがとう!感謝のショー」は、忘れることが出来ません。日本文化をこの地で守り、ブラジル社会に普及振興に力を注いでこられた各団体に微力ながら協力してきた弊社は、その成長ぶりに安堵するとともに、若い世代へのバトンタッチができていることをうれしく思います。

 20年以上前の話です。米国サンフランシスコで発刊されていた邦字紙の社長が、本紙の学芸ページを見て、「この人たちが邦字紙を支えているんだ。大事にしないといけないよ」と言われたことがあります。その時、この新聞はすでに、学芸ページが組めなかったのです。当時、筆者はその意味が理解できませんでした。その後、弊社が主催する俳句会などに出席し、その意味が理解できるようになりました。ご高齢のご婦人が、毎朝6時になると自宅前に立ち、サンパウロ新聞が配達されるのを今か今かと待っていると言われたのです。この言葉を聞いたとき、読者の皆様が新聞を心待ちにされていることがひしひしと伝わり、我々の使命は新聞社の先輩が口癖のように言っていた「読者が最後の一人になるまで新聞は出し続ける使命がある」という言葉を胸に刻んできました。しかし、矢が尽きてしまったことは、言葉に言い表せない苦衷にとらわれています。それは、サンパウロ新聞発行にかかわってきたOBの皆さん、そして今日まで一緒に頑張ってくれた社員の皆さんも同じです。

 我々も今日から新しい年が始まります。

 人生100年の時代だといいます。どうぞ、いつまでもご健康で健やかにお過ごしいただき、皆様がこの地で活動してきたことを若い人たちに伝え、温かく見守りながらお元気にお過ごしください。長い間ありがとうございました。【編集局長 鈴木雅夫】

 
2019年1月1日付

コメント1

  • Mutsumi Narita Reply

    2019年01月06日 at 22:34

    日本から時間を見つけてはウェブ版ではありましたが、精読させてもらっていました。
    残念でなりません。
    ネット配信など、何らかの形で是非復活されることを祈念しております。
    また、これまでの膨大で貴重なアーカイブスを是非とも保存されていただけますようお願いいたします。
    ありがとうございました。

コメントを書く

Login

Welcome! Login in to your account

Remember me Lost your password?

Lost Password