アマゾン保護林に研究施設が完成 京大、JICA、アマゾン研究所が連携して実現

アマゾン保護林に研究施設が完成 京大、JICA、アマゾン研究所が連携して実現
記念碑の除幕式

熱帯雨林の生態系解明、地域社会の環境教育に期待

アマゾン保護林に研究施設が完成 京大、JICA、アマゾン研究所が連携して実現
ビジターセンター(多目的棟)で行われた開所式

 国際協力機構(JICA)ブラジル事務所(斉藤顕生所長)、京都大学野生動物研究センター(WRC)、国立アマゾン研究所(INPA)が連携、伊藤忠商事が支援し、アマゾン熱帯雨林の生態系解明、多様性保全のための環境教育を目的にした前線基地「フィールド・ステーション」がアマゾンのネグロ河支流に完成した。8日に行われた開所式には、京大から山極壽一(やまぎわ・じゅいち)学長(66、東京)、INPAのルイス・ヘナト・デ・フランサ所長らを筆頭に関係者が集結し、同所での構想・期待を語った。

 同プロジェクトは、地球上で屈指の生物多様性を誇るアマゾンの熱帯雨林に、周囲の自然環境を活かした研究、保全施設が無いことを契機に、INPAと研究協力を行っていたWRCが、アマゾンで長期滞在可能な前線基地の構想を立案。14年7月から、JICAと科学技術振興機構(JST)が共同実施している「SATREPS(地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム)」の中で、研究者の前線基地「フィールド・ステーション」建設が進められてきた。

 同施設は、ビジターセンター(多目的棟)と60人宿泊可能な宿泊棟を持ち、アマゾナス州マナウス市から船で約3時間半ほどの、ネグロ河支流クイエイラス川地域に8カ月の施工期間で新設された。

 同地は、(1)INPA管轄の保護区で、元々研究小屋があったこと(2)将来的に陸路で、同区内の他施設と動線で結ばれること(3)近隣コミュニティとの位置関係(4)テラ・フォルメ(非浸水林)など、周辺の土壌・植生環境から研究・エコツーリズムに最適な場所であることを理由に選定された。

 開所式で山極学長は、約30年振りとなる2回目のアマゾン訪問を果たし、あいさつで「長期調査の拠点として大きな可能性を感じている」と声を弾ませた。また、京大がアジア、アフリカの熱帯雨林で実績を上げてきた旨を話し、「アマゾンの熱帯雨林に関しては手薄だった。3つの熱帯雨林に繋げて、地球の心臓であり、生物多様性の宝庫をどうやって残すかの研究が一層進むはず」と期待を語る。

アマゾン保護林に研究施設が完成 京大、JICA、アマゾン研究所が連携して実現
ハンモックが設置される宿泊施設内部

 INPAのフランサ所長は「地域の人々にとっても良いプロジェクトで、人類と動植物、自然との共存のシンボルになる」と話し、JICAの斉藤所長は「地域住民の参加が、このプロジェクトの持続性を高めるために重要。ここから先がスタートになる」とそれぞれ地域社会・先住民への環境教育、協力体制構築を見据えた今後の展望を語った。同地では、施設の家材製作や、研究者がカメラ・トラップなどの仕掛けを用いる際、現地の先住民が「森の知識」を活かした補助に当っている。

 アマゾン川流域熱帯雨林の生態系解明に加えて、エコツーリズム活用による地域社会へ環境教育・経済面での貢献も期待される。

2018年5月11日付

コメント0

コメントを書く

Login

Welcome! Login in to your account

Remember me Lost your password?

Lost Password