サンパウロ新聞記者座談会①

コロニア御三家会長選の行方

今年は文協と援協が2年毎の通常の会長選挙が行われる。加えて、県連の与儀昭雄会長の沖縄県人会会長降板がほぼ確実視されていることから、任期1年を残した状態で新しい会長が登場しそうだ。コロニア御三家で同時に会長選挙が行われるのは史上初。この会長選挙で誰が立候補するのか、記者座談会で予想してみた。

―――――――――――――
【出席者】
編集局長=鈴木雅夫
社会部デスク=松本浩治
記者=米沢心
―――――――――――――

文協
現職木多氏と3度目の小川氏、一騎打ち

鈴木 最初に文協ですが、木多喜八郎さんは続投の意思はあるだろう。
米沢 うん。
鈴木 文協関係者の話を聞いても、本人はやる気はある。ただし、周囲が推してくれたらと言ってるようだけど。
米沢 それは直接、木多さんから聞きましたね。
鈴木 今の執行部から出てくるのは木多さんだけ? 前回の選挙の時に名前が挙がった吉岡黎明さん(救済会会長)もまだやる気があるみたいだ。

松本 あるんですかね。鈴木 あると思う。ただ彼の場合も推薦してくれればという条件が付くと思う。そうなれば、対抗馬は、昨年9月に立候補した小川彰夫さん。
米沢 3回目です。
松本 3回目ねえ。
鈴木 新聞社まで来て、立候補を宣言してる。
松本 小川さんの方がやる気満々ですよね。
米沢 前回の選挙終了直後から、次の2年に向けて動いてましたからね。
鈴木 意欲は十分買えるけど、何をやりたいのか伝わってこないね。

松本 ただ、木多さん自身が、昨年文協創立55周年って言った割には、ほとんど動きがなかった。その意味では、動きのある方にという期待は誰しもが思うことでしょう。小川さん自身はイカロという団体を運営しているが、これはどういう動きなんですかね。
米沢 これは、ブラジル一般の社会に日系コロニア、それから日本の文化や活動を広く伝えるというために、「日系ウェブ」というサイト、それから、「ニッケイペディア」は特に面白いということで、ブラジルのメディアにも取り上げられていて注目を集めてますね。
松本 何とか日系社会を良くしたいというのが小川さんにはある。特に、沿岸地域の連合体を作っているレジストロの山村敏明さんと連携、力をつけている。
米沢 あそこの広報担当理事になってますね。
松本 でも、(鈴木さんが)指摘されるように、ほんじゃ何かというところがまだ出ていない。それから、小川さんのマニフェストは?
米沢 チェンジ。

鈴木 ちょうど、オバマ大統領の選挙戦にあやかったのね。
松本 雰囲気を変えたいということですか。その意味では、小川さんに1回やってもらっても面白いんじゃないかという世間票はいっぱいありますけどね。
鈴木 前回の場合も票読みの段階ではかなり接戦で、ひょっとしたら逆転して当選するんじゃないかと思ったんだけど。ただ、最終的にシャッパができたときに、どうしても小川さんというのは一匹狼で、山村さんのような協力してくれる人たちはいたけど、番頭格の人がいなかった。谷広海さんとか、池崎博文さんとかをシャッパの中に入れて何とか形は整えた。でも、逆にこの2人を入れたことによって、票が反対の方に流れた、と言われてるんでね。今回も、肝心なサンパウロでどれくらい票起こしできたのか分からない。
米沢 そうですね。
松本 小山さんたち1世の動きは分かりますか?
鈴木 小山さんは今、ブラジルニッポン移住者協会でやっている植樹運動に力を入れていて、あまり今回の選挙には積極的ではないと思う。

松本 いずれにしろ、1世の会長候補が出ないなら、現職の木多さん、小川さんの一騎打ちになる。2世同士ということになるんですけど、2人とも色が違いますね。
鈴木 そこで今回の一番の目玉になるのが、評議員の半数改選なわけです。評議員の半数改選が、3月末の文協の定期総会で代わる。小川さんも「前回失敗した」と言っていたのが、「ともかく数多く評議員選挙に出てください」と、自分のシンパにかなり立候補してもらったけど、結局票がばらついて裏目に出たと小川さんは考えている。実際にそうだった。9月に立候補宣言した時も「今回は絞る」と言っていたね。
松本 それではまず、評議員の選挙が一番の鍵になりそうですね。
鈴木 そうだね。そこでだいたい票読みはできるから。ただ、選挙は、現職の方がどうしても強いからね。それと、12月いっぱいでサンタンデール銀行を退職した清水オリジオさんの動向が気にかかる。彼はこれまで日系コロニアにずっと資金を流してきた人だけに、他の誰よりも日系コロニアのことを知っているし、思いもある。ただ、彼の場合は文協の現職の理事。ところがもう一方では、小川さんのイカロの評議員会の会長をやっている。私は彼の出方次第で、決まると思うんだ。だから、当然両陣営とも彼を引っ張る。
米沢 そうですね。それを小川さんに聞いたんですよ。小川さんは、「うん、もうオリジオさんには、話はした」と。そうしたら、「断られた」と。

松本 早々に。
鈴木 (笑う)
米沢 要するに「どっちにもつかない」
鈴木 清水さんは両方から引っ張られて股裂き状態になるのは目に見えている。どっちかにつくと、自分が築きあげてきた信用を失ってしまう。一番賢いのは、両陣営に組みしないということになる。残念だけどね。  (4貢につづく)
米沢 たぶん、自分から出て来ないですよね。誰かが担がないと。
鈴木 誰が鈴を付けるかだ。例えば、会長を山下譲二さん、清水さんが第1副会長というシャッパを作れれば、清水さんも動く。
松本 選挙になると動く渡辺和夫さんは今回、どのように立ち回るのでしょうね。
鈴木 ここ2年の彼の動きを見ると、文協に興味がないような感じだ。
松本 あまりタッチしていないですね。ただ、小川さんが一騎打ちとなって対抗シャッパを出してきたら、やはり動く可能性がある。当然、今の木多さんを応援するという側に回ると思いますけど。

鈴木 回るよね。
松本 小川さんは、面白くないでしょう。文協を見ていて動きがないというのは、先程も言いましたが、それは1世の方にもそう思っている方は 多いと思います。だから、一騎打ちになる可能性が高い。小川さんは今回3回目ですけれど、小川さんにしろ、木多さんにしても1世や日系社会に対する思いや 本当に実行していくだけの実行力がないと、「そっぽ」を向かれる。誰が会長になっても一緒。今の日本の首相と同じ。マニフェストも、単なるチェンジではな くて、どのような具体的なものを出すのか。これがないと、会員は付いてこないと思うんです。協議の段階でどれだけ会員の人が付いてこられるか。今の段階で は、会員のための団体になっていないです。その辺が一番のネックになっている。

鈴木 米沢記者は、小川さんのとの付き合いもある。彼の性格は?
米沢 良い人ですよね。松本 短気なところはあるけれどね。スパッとしてるからね。1回言って何か言っても、次に会うと忘れているというね。そういうやはり人に好かれる方ではありますね。
米沢 ただ、本人は昔に比べたらだいぶ気が長くなったと言っています。松本 あとは、勉強熱心ですね。例えば、老人クラブで習字をやったり、日本語を勉強したり。それは、やはり奥さんの細川多美子さんの影響もあるでしょうけど。
米沢 そうですね。
松本 日系社会に関わる前から比べると、百八十度変わりましたからね。米沢 それだけでなく、やはりフットワークが非常に軽いですよね。

鈴木 この間、市議会からアンシェッタ章をもらったとき、招待状を全部手渡しだったね。
米沢 その場で筆ペンで名前を書いて。
鈴木 人の心を掴むのは心得ているよね。
米沢 授賞式のときも300人くらい来てましたね。小川さんと話したときに、「あの授賞式というのは、文協の会長選挙に向けて良いタイミン グでやってもらえて良かった」と喜んでいました。あのときも遠くはレジストロから来てましたね。だから、今まで向こうに力を入れてやってきたというのが 実ったということでしょう。
松本 自分が通ってるからというのもあるしね。

米沢 がっちり地方は掴んでますよね。
松本 その意味では、本当に一騎打ちになる。
米沢 どっちが勝つか。前回は確か6票差。
松本 僅差やね。どっちが会長になってもおかしくないですものね。
鈴木 だから、木多さんが何もやってこなかったという評価のほうが大きいからそれに対する反対票が出てきてもおかしくはない。互角の戦いだと思う。負けても勝っても本当の僅差。2票とか、1票とか。

コメント0

コメントを書く

Login

Welcome! Login in to your account

Remember me Lost your password?

Lost Password