ジャパン・ハウスを考える ㊤ 長続きしない社会現象

 サンパウロの目抜き通りパウリスタ大通りに開設したジャパン・ハウス(JH)が人気を呼んでいる。4月にオープンしてわずか2か月足らずで入場者が16万人を突破した。日本外務省が企画の段階で想定した年間入場者目標15万人を2か月でクリアしたことは想像を絶する快挙だ。まさに、脱帽するしかない。筆者を含め、日系コロニアは予想もしなかったことだ。これは、日本外務省を始め、JHのスタッフでさえ驚いたに違いない。「莫大な金を注ぎこんだのだから当然だろう」と冷やかに見る向きもあるだろう。だが、資金さえつぎ込めば達成できるものではない▼外務省は、ロサンゼルス、ロンドンにも建設を進めているが、サンパウロがいち早くオープンしたので比較できないのだが、中前隆博・前サンパウロ総領事は、「ロスでもロンドンでもこれだけの入場者を動員できないだろう」とサンパウロの特異性を評価する。その理由に挙げたのが、一世紀以上にわたり、この地で貢献してきた日本人移住者、日系人の存在だ。開会式に出席したテメル大統領、アルキミン・サンパウロ州知事、ドリア・サンパウロ市長が口を揃えて称賛した規律、勤勉、家族愛、伝統の尊重という精神性をブラジル社会が認めているからだ。日系コロニアが築き上げてきた信用・信頼をブラジル社会が関心を示し、「JHは、今度は何をブラジルに持ち込むのか」という興味と好奇心が、観客動員に結び付いた▼それだけではない。イベントの企画力、創造性、広報の方法など我々が考えられないような切り口の素晴らしさを持っている。企画屋は「千三(せんみ)つの世界」という言葉を使う。イベントは千のうち三つ当たればいいという世界なのだ。オープン前からのいくつものイベントはすべて成功している。このことにより、JHの名はブランドとなり、中前氏は「JHがちょっとした社会現象になっている」と説明する。社会現象は熱しやすく冷めやすい。それを息切れしないように安定した観客動員数を確保できるようにするのがJH事務局だ▼今年、周年事業でサンパウロを訪問する各県の知事は、いずれもJH訪問が予定に組み込まれている。それだけ、日本国内での宣伝効果もあるということだろう。地方自治体がJHをどのように利用するのか、新しい試みが始まることにも期待したい。(つづく、鈴)

2017年8月25日付

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