ジャパン・ハウスを考える ㊦ 日系社会と協同か棲み分けか

 ジャパン・ハウス(JH)の話が持ち上がった時点から日系コロニアの関心も高かかった。担当したサンパウロ総領事館には日系諸団体から企画が持ち込まれたり、「資金の一部を充当してほしい」などの要望が相次いだ。当時の総領事・中前隆博氏は機会あるごとに「ともかく、JHがオープンしたら見てください。それから判断してほしい」と説明に余念がなかった。既に書いたように、創造力、発想力がこれまで日系コロニアが行ってきたイベント・事業とかけ離れており、現時点では協同という形では難しいと言わざるを得ないのではないか▼協同というより「お手伝い」はできるだろう。例えば、都道府県がJHでイベントを行うときに県人会が人を出したり、説明員として従事したりすることはできる。それにしても、日本や県の知識を習得していなければ役に立たない。また、JHはスペースが狭いので、ほかの施設を使わざるをえない場合もある。このとき、文協、アリアンサなどの施設を使ってもらうことを提案してみたらどうか。日本外務省の考え方は、リベルダーデは日系コロニア色が強くなることを懸念したきらいがある。しかし、JHがブランドとなっていることを考えると、逆に日系団体の施設を使うことで点が線になり、ひいては面になる効果も出てくるだろう▼1か所で展開するより、2か所、3か所に分散することで相乗効果が出ることを考えると次のようなこともできる。日系コロニアは1世紀以上にわたりこの地で日本の伝統文化を守り、普及してきた。これまでは、対象が日系社会、日系人だったが、最近はブラジル社会に向けて普及・振興しようとしていることを考えるとJHが行うイベントに見合ったような伝統文化を日系団体の施設で紹介することにより、多面的に日本を紹介することはできるだろう。このような形をとると、棲み分けができる▼ただし、日系コロニアが考えなければいけないのは、これまでのように、ただ漫然と趣味の延長線で日本文化を紹介するのではなく、より深く知識や技能を習得し、JHが考えている戦略拠点という役割に似合うような発想ができるようになる必要がある。JHは我々に大きな刺激とチャンスを与えてくれる場であることを肝に銘じることだ。(おわり、鈴)

2017年8月26日付

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