スペイン系3世のカナレスさん 日本で暮らし、教えて40年

ブラジルに戻り作家生活開始
1975年から延べ40年にわたって日本に滞在しているスペイン系ブラジル人のルイス・カナレスさん(71)はこのほど、米国ボストンで日本の教育について執筆した英語書籍「Whip Love & Videotapes(ムチと愛とビデオテープ)」を発刊。来年から生まれ故郷のブラジルに拠点を移し、これまで仕事の合間に書き続けてきた作家生活を本格的に開始する考えだ。
カナレスさんの両親はサーカス団の一員として生活し、その後ブラジルの俳優になった経歴がある。カナレスさん自身もサンパウロ市で生まれて10歳までサーカスを手伝い、20歳までテレビタレントとして活動した経験があるという。
その後、米国でハリウッドスターとして生きるか大学の教授になる迷った末に、大学に進むことを選んだ。64年、21歳の時に米国に留学し、大学院も含めて10年間、英米文学を勉強してきた。
その後、日本の静岡県富士宮市の貿易研修センターからスペイン語の講師として招待され、75年に訪日。77年から現在まで京都外国語大学外国語学部教授としてスペイン語とポルトガル語を教えるなど、日本の学生を指導してきた。
その間、大学の仕事の合間に書籍を執筆。20年前にはイタリア人女優のジーナ・ロロブリジーダ氏についての書籍を米国で出版。そのポ語翻訳版を96年にリオで改めて発刊している。
今回米国で出版した日本の教育についての書籍は自身で3冊目となる。
来年3月には、長年離れていた故郷のブラジルに戻り、本格的な作家活動を行うというカナレスさん。今回出版した書籍は、大学などで体験し見聞きしてきた現代の日本の学生について書いたという。
カナレスさんは「今の日本の学生は厳しくしなかったら勉強しない。普段の講義にも出ず、出て来ても宿題すらしてこない。私の授業では、宿題をしてこない生 徒には『来ないでくれ』と言っている」と手厳しい。その一方で、「それでも生徒には愛も必要。私の授業では例えば、ブラジルのカンガセイロやスペインのド ン・キホーテのビデオを見せるなどしてやる気を出させた」と学生の興味を引き出していたようだ。
日本の学生が勉強をしなくなった背景について「日本の社会はプレッシャーが強すぎる。子供の時から親が押し付け過ぎで、大学生になるころには興味が無くなってしまう」とカナレスさんは自身の体験から、そう分析する。
来年3月にブラジルに戻る意思を示しているカナレスさんは今後、自分の人生とルーツについて執筆していく考えを示している。
2015年2月21日付
コメント2
Hisato Wakabayashi
2016年08月02日 at 12:27間もなくオリンピック開催ということで、
ふと先生のことを思い出し、お名前で検索してここに辿り着きました。
記事内容からすると、先生はもうブラジルに戻られて、本格的な作家活動を始められたのでしょうか。
私は1986年~1990年に京都外大で先生からスペイン語を教わっていました。
4年次の選択科目で先生のクラスを履修したとき、受講生は私を含めてたった2人、
詩人フェデリコ・ガルシア・ロルカの伝記を教材に、週にたった1コマだけだったけれど
それはそれは密度の濃い授業をして下さったことを昨日のように覚えています。
クリスマス前には京都のご自宅にも呼んで頂き、プチパーティをしたことも。
そして卒業してから1度だけ、先生にお手紙を差し上げたことがあります。
社会人になって初めて会社から支給された名刺を、その手紙に同封して、誰よりも先にお渡ししました。
・・・もう、何もかもが懐かしい。
先生にまたお会いできる機会がありますことを切に願っております。
オースケ
2018年01月22日 at 17:41僕も同じ時期に京都外大のポル語学科でカナレス先生の会話の授業を受けていました。僕も恥ずかしながらカナレス先生が語られるような勉強をしない学生で、成績は悪かったです。今ブラジルに住んでますが、いつかサンパウロに行ったらカナレス先生と再会したいです。