ドイツから駆け付け美声を披露 声楽家の江田グスターボさん

ドイツから駆け付け美声を披露 声楽家の江田グスターボさん
三味線を弾きながら『津軽あいや節』を唄う江田さん

第30回郷土民謡全伯大会に特別出演

ドイツから駆け付け美声を披露 声楽家の江田グスターボさん
第30回ブラジル郷土民謡全伯大会に駆けつけた江田さん

 「彼は、本当に貴重な存在ですよ」―。5日に開催されたブラジル郷土民謡協会(斉藤美恵会長)主催の第30回ブラジル郷土民謡全伯大会に、声楽家として留学中のドイツから駆けつけたのが、ブラジル日系3世で、ミナス・ジェライス州ベロ・オリゾンテ市出身の江田グスターボさん(32)だ。同大会の歴代優勝者の一人でもある江田さんはこの日、特別出演として三味線を弾きながら『津軽あいや節』を唄い、会場からひときわ大きな拍手を送られていた。大会実行委員長を務め、江田さんを民謡の世界に勧誘したベロ・オリゾンテ市在住の棈木(あべき)幸一さん(80、鹿児島)は冒頭の率直な気持ちを表しながら、頼もしく見守っていた。

 江田さんは子供の頃から歌や音楽が好きで、ベロ・オリゾンテ市のカラオケ大会などに出場していた17歳の時、その歌声に聴き惚れた棈木さんが「民謡をやってみないか」と勧誘したという。

 「以前は(ミナスの)文協に民謡愛好会があり、10人ほどの会員で活動していましたが、20年ほど前に(ブラジル郷土民謡協会の)支部をベロ・オリゾンテにも創ろうということになりました。その時、本部などから10本の尺八を寄贈され、とにかく若い衆(しゅう)を入れないといけないということで、15年前にグスターボに(会員として)入ってもらいました」と棈木さんは当時の江田さんと出会った経緯を振り返る。

 一方、江田さん自身は当時、郷土民謡に誘われて会員となった時は「民謡は難しいと思った」という。しかし、「民謡に挑戦することで、だんだんと面白くなった」と述べ、その魅力について「日本各地の自然と人間の様子を唄うことができ、伝統的な音楽であるところ」と強調する。

 江田さんは民謡の稽古を重ね、2009年には日本で三味線と尺八の演奏活動なども行うと同時に、翌10年には地元ベロ・オリゾンテ市に戻ってミナス・ジェライス連邦大学(UFMG)で改めてクラシック音楽も勉強。11年にはサンパウロ市で開かれた、第23回ブラジル郷土民謡全伯大会で優勝した経験も持つ。14年からはドイツ・ワイマール市にあるフランツ・リスト音楽大学に留学し、オペラのテノール歌手として声楽家の道に進んだ。現在、同大学院に通い、今後は博士号課程取得のために世界中の音楽を記録する作業を行っていくそうだ。

 また、プロのオペラ歌手としてヨーロッパや日本などで年に数回、公演活動を行っているほか、その合間にドイツやスイスなどで民謡も教えているという。

 声楽家の道に進んだ理由として江田さんは、「生活のためにプロとしてやっていくには、仕方がないと思いました。でも、民謡はこれからも続けていきたいと思います」と意気込みを語る。

 ブラジル郷土民謡協会ベロ・オリゾンテ支部創設時から会員として活動する荻原伸三さん(78、長野)は、「我々1世の祖国を思う気持ちを、民謡を通じて伝えていってほしい」と江田さんに期待をかける。

 棈木さんも「彼は、本当に貴重な存在ですよ」と語り、師匠である自身を超えた存在として頼もしく見守っていた。

2018年8月18日付

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