ドウラードスの日系社会④ モデル校校長の城田志津子さん

ドウラードスの日系社会④ モデル校校長の城田志津子さん
城田さん

 南マット・グロッソ(麻)州ドウラードスの日本語学校モデル校の校長を務める城田志津子さんは、日本語教育を通じ、同地の日系社会のリーダー育成に貢献している。ここで取り上げる必要がないくらい、有名な人物だ。運営に苦悩する時もあったが、今も現役で教壇に立っている。

 同モデル校は1989年に開校。「日本人子弟への教育のため」という理念のもと、比較的安価な月謝で運営を行ってきた。しかし、世代が進んだこと、そして不安定なブラジルの経済状況などもあり、日本語学習者は減少。毎年2万ドルの赤字が出ていた時期もあり、理事会が赤字分を補填(ほてん)したり、南麻州日伯連合会の役員からの寄付金やひな祭り、フェスタ・ジュニーナなどのイベントを開催し、どうにか穴埋めを行ってきた。

 イベント開催が功を奏し、多くの人が同モデル校の存在を認知。「着物を着たり楽しそう」「日本語学校に入っている子は物覚えが早い」などの噂が広がり、生徒が増加した。また、成長し結婚した卒業生が、自身の子供らをモデル校に通わせてくれたのも大きかった。「それで何とか『維持』することができた」と当時を振り返り、城田さんは安堵の表情で語る。

 何十年も走り続けてきた城田さんだが、昨年飼い犬の散歩中に転倒し、負傷。引退を考え始めていたこともあり、「これは良い機会だ」と担当クラスを上級クラスのみに絞った。さらに運営を含め、徐々に若い教師陣中心の体制に変え、基本的にはすべて一任し、何か分からないことや相談があれば、対応するという形に変えた。若い世代が中心の同地の日系社会同様に、モデル校も変革の時を迎えることとなった。

 城田さんの長男で、南麻州日伯文化連合会の城田ジョゼ芳久会長はじめ、若いリーダーを育む同地の日系社会。養成することで、これからは多くの日系政治家が輩出されることを城田さんは期待している。さらに「自分はこういうことを日系社会で何かしたいという思いを持ったリーダーに、各地域の日系団体を引き継いでもらいたい」と付け加え、「モデル校の役員もいまだにそういう思いで働いている。息の長いリーダーがどんどん育ってほしい」と期待を込める。

 また、日本語教師としては未来のリーダー候補たちのために日本人、日系人としての出自を示していくことにも重点を置いている。「日系人と言えど、行動などはブラジル人になっていく。しかし、日本語学校へ来てもらえれば、自分のルーツを知ってもらえる。生徒たちには自分の家族がどこから来たのかということを知ってもらいたい」。その一環で老人ホームに入居する高齢の日本人と対話する時間を設け、日本人移民の歴史を知ることで、子供の頃から自分は日系人なのだという意識が育つプログラムを行っている。

 この先、ブラジル社会に日系社会が飲み込まれる日が来るかもしれない。「でも味噌汁を美味しい、美味しいって飲んでいる人がいて、そうなってしまうのは寂しい。足元を見つめて、子供たちにはできるだけ早く日本を見てもらいたい」と城田さんは自身の思いを語った。(つづく)

2016年10月5日付

コメント0

コメントを書く

Login

Welcome! Login in to your account

Remember me Lost your password?

Lost Password