ドウラードスの日系社会(番外編) 流暢な日本語話すマリンガの佐藤兄弟

ドウラードスの日系社会(番外編) 流暢な日本語話すマリンガの佐藤兄弟
(後列左から)繁樹さん、豪さん、賢さん、(前列左から)力さん、臨さん

 ブラジルで日本語や日本文化を大切にしている日系家族と言えば、サンパウロ州プロミッソンをはじめブラジル各地に住んでいる安永家が有名だが、「第7回ブラジル三州パラグアイ交流日本語お話大会」の会場で出会った佐藤家も、安永家に負けず劣らず日本語を大切にしている一家だ。

 佐藤家は、パラナ州マリンガ市在住。会場で出会った佐藤兄弟は長男の豪さん(20)、次男の賢さん(18)、三男の大さん(16)、四男の臨さん(13)、五男の力さん(11、三男の大さんは現在訪日中のため、当日は不在)の5人。全員が訛りのない流暢な日本語を話し、日本のテレビ番組や友人から覚えたという現代的な日本語表現もできる。兄弟の日本語の秘密は、佐藤家内で使われるのが基本的に日本語のみだということ。兄弟全員、どちらかと言えばポルトガル語より日本語のほうが得意だと話し、「言葉の表現や語彙(ごい)が多いのは日本語」だという。会場には佐藤兄弟の従兄弟である繁樹さん(16、3世)もマリンガ文化体育協会(ACEMA)の大会ボランティアとして来ており、もちろん繁樹さんも流暢な日本語を話していた。

 兄弟の母、礼美さん(45、3世)に話を聞くと、自身も夫であるネルソンさんと結婚した直後は佐藤家の親戚一同が日本語で会話をしていることに驚いたという。元々福岡弁の日本語を知っていた礼美さんだったが、結婚直後に日本へ留学したネルソンさんに付いて2年間、日本で生活。その間に標準語を覚えた。

 家庭での会話に加え、子供らには幼い頃から礼美さんが日本語を教えた。豪さんはブラジル学校に入るまで日本語しか話せず、「ブラジル学校へ入学すると、『ポルトガル語が分からない』と泣いて学校へ行きたがらなくて、それが一番大変だった。毎日無理やり連れて行きました」と笑う。成長するにつれ、家の外で話すのはポ語ばかりなので、兄弟は家の中でもポ語を話すようになる。そんな時はネルソンさんと礼美さんのどちらかが「日本語!」と注意して、家庭内で日本語での会話が徹底されるよう心がけている。

 祖母の邦子さん(85、2世)の子供は、ネルソンさん含め8人。佐藤家は男子家系だといい、子供のうち7人が男。マリンガをはじめブラジル各地や日本にそれぞれ居住している。「日系人はすぐポ語に傾いてしまいますからね」と日本語が廃れていく現状を憂うが、そんな中「孫たちは『日本語を話す』という佐藤家の伝統をよく守ってくれている。将来がとても楽しみです」と頼もしい兄弟の成長に目を細める。

 この日、年長2人はACEMAの大会ボランティア、臨さんと力さんの年少2人は同大会に出場していた。グループC(12歳と11歳)に出場した力さんは見事1位に輝いたが、「嬉しいけれど、特別賞が取れなくて悔しい」と悔しさ半分の表情を見せた。年少2人はまだ日本へ行ったことがないが、「いつか日本へ行って医学の勉強をしたい」と臨さんは将来の夢を教えてくれた。

 兄弟の将来について礼美さんは「佐藤家の伝統は継いでほしいが、誰かのためになり、人間として正しく生きてくれればそれで良い」と多くは望まない。豪さんからは「日本語を話すことは佐藤家の伝統であり、それが祖父の願い。自分から先の世代にも佐藤家の伝統をつなげていきたい」と長男らしい責任感ある一言が返ってきた。(おわり)

2016年10月6日付

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