パワフルなお母さんたち 佐野 仁美

パワフルなお母さんたち 佐野 仁美
たいこを習うお母さんたちと仁美さん(前列左端)

 今年の4月からの11カ月間、私はサンベルナルド・ド・カンポ市にある日系の学校で研修生としてブラジルにいる。「学校」という空間で研修しているが、大学で教育学などの勉強をしていたわけではない。しかし、ブラジル人の子供たちの元気さに、笑ったり、怒ったり、たじろいだり、驚いたりの日々をとても楽しんでいる。

 この学校では、日本語の授業もあるが、小学生にはたいこの授業もある。母の日や父の日などのイベントごとでも、たいこ演奏発表の枠がある。次第に子供たちの演奏を見ていた保護者からも、たいこをやってみたいという要望が寄せられ、今年から放課後に保護者向けのクラスが始まった。火曜日と水曜日の午後5時45分から1時間、ブラジルに来たばかりの私も、たいこに興味があったので、火曜日だけ、参加し始めた。

 仕事からかけつけてくるのは、ほとんどがお母さんだ。あの元気な子供たちのお母さんたちも、やっぱり元気がいい。一日仕事をしてきたとは思えないパワフルさで、たいこをうつ。たいこの先生がヘトヘトになってしまうほど。

 小学生の授業では、もちろんたいこが苦手な子もいて、「やらなきゃいけない」という受け身の子に先生は試行錯誤して、リズムを教えていく。しかし、やらせているのではなく、自ら希望してやっているお母さんたちは、熱心で、その吸収力は凄まじく、どんどん上達していく。「先生もっと練習しよう、もっと難しいのやろう」と、新しい曲をすぐに覚えていく。

  なんといっても、たいこを叩くお母さんたちは、楽しそうだ。難しい曲が打てたら、「できたー!」と言うし、できなかったら悔しがる。素直に、たいこが好きだということを表現するお母さんたちはとっても 素敵だ。全く後ろ向きなエネルギーのない空間にいるのは、本当に気分がいい。

 4月にクラスが始まってすぐの母の日、お母さんたちも校内で発表する機会があった。それから父の日・文化祭でも演奏した。さらに、校外で発表することもある。そんなとき、衣装の話をするお母さんたちは、あれがいいこれがいいときゃっきゃっしている。まるでクラスTシャツの話し合いをする女子高生のようだ。

 エネルギー溢れるお母さんたちから、毎週元気をもらっている。そんな生活もあと少し。すでに帰国日が決まった。進路は決まっていないが、どういう人でいたいかが見えてきた。

2016年11月30日付

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