ピラール日語校のすごさ㊤ 基金上級専門家の福島氏が講演

ピラール日語校のすごさ㊤ 基金上級専門家の福島氏が講演
講演を行った福島氏(左、提供写真)

日本語教師や保護者ら80人が出席

 国際交流基金サンパウロ日本文化センター日本語上級専門家の福島青丈(せいじ)氏が9月22日午後7時から、ピラール・ド・スール文化体育協会会館で日本語教育やピラール・ド・スール日本語学校の教育についての講演を行った。普段は機会がない児童教育や語学教育に関する専門家の講演を聴こうと、保護者をはじめ、文協会員、市内ブラジル学校の教師ら約20人を含む計約80人が参加した。 

 福島専門家はこれまで、メキシコを皮切りに、ウズベキスタン、ロシア、ハンガリー、イギリスと世界各国で活動。この日の講演会について「日本語学校にこんないいことがあるのかな、ということを考えてほしい」と趣旨を述べた。

 同氏は「言語教育は言葉の教育だけではなくて、『人をつくる』『社会を作る』という考え方がある」とし、「人は言葉だけでは人と関係を作れない。『言葉』の他に『知識』『行動』『心』の面でたくさんの能力が必要」と説明した。また、「2つの文化を合わせて1つの文化をつくるという考え方もできる」と述べ、成功者の条件を調査している米国のグループの調査を例に挙げながら、「『頭がいい人』もあるが、それ以上に多いのが『継続する人。頑張る人。他の人と一緒にやっていく人』で、トレーニングすればできるようになる」と強調。これからの地域社会をつくっていくために、「言語通訳・文化通訳」「複言語・複文化キッズ」「グローバル人材」で育った学習者が重要になるとし、個人を超えた枠組みの中で将来に向けて果たしうる役割や貢献の必要性を示した。

 続いて同氏は、今回の講演の主題でもある「ピラール・ド・スールで驚きを感じたこと」を話した。

 1つ目は、子供たちの日本語のレベルが高いこと(2016年の日本語能力試験の結果でN1合格2人、N2合格3人、N3合格2人)を挙げ、「N2は、日本語専攻の大学生が卒業する時に目標とするレベル。15歳ぐらいでN2というは、他の国から見るととんでもないこと。イギリスのオクスフォード大学やケンブリッジ大学といった世界の一流大学の日本語専攻の卒業生と同じレベル」と評価した。

 また、生徒たちが日本語を理解するだけでなく、話す能力も非常に高いことに言及。「3、4年生は日本の小学生の2つ下ぐらいのものが読め、上級生になると、日本と同じ年の子供が読む本と同じレベルの本が読める。家庭レベルでならそういうところもあるが、地域レベルでそれができるのはとても珍しい」と驚きを隠さなかった。

 2つ目は、「日本語学校がすごいこと」とし、同校が『日本語教育』と『人格形成』の2つを実践していることを説明。「人格形成をやるという学校は多いが、実際に理論と実践が一致しているところはあまり多くない。ここの学校の教育理念に『周りとともに強く生きる力の育成~自ら律しつつ、他人と協調し、他人を思いやる心や感動する心など、豊かな人間性とたくましく生きるための健康と体力の育成~』とある。教育理念を書いてある学校は他にもたくさんあるが、実際にどうやってやるのか。2015年にブラジルに来て、初めて訪ねた日本語学校がピラール・ド・スール校だが、その時に言葉の面だけではなく、気持ちの面もしっかり教えていて、すごいなあと思った」と率直な感想を語った。

 さらに、「この学校では年中行事や課外活動がとても多く、子供は体験することで学ぶことが多い。そして現在でも週5日間、イマージョン教育(1960年代にカナダで始まり、現在では世界各地の学校などで導入されている学習法で、新しく導入される言語を媒介として様々なことを学習し、同時にその言語も習得するというもの。例えば、日本語を学ぶことでポルトガル語をより理解できるようになり、今までできなかった人々とのコミュニケーションが可能になることなど)を行っているところは非常に珍しい」と週5日制の特異性を挙げた。

 そのほか、同氏は同校の週末のイベントの多さにも触れ、「イベントをするのは大変なことです。でもここは毎月やっている。ブラジルの色々な日本語学校に行きましたが、こんな学校はそんなにたくさんあるわけではない。だから、皆さんは当たり前だと思っているかもしれないが、すごい所にいるんだということを知ってください」と述べ、日本語学校の活動を支える保護者の存在を称えた。(つづく)

2017年10月20日付

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