ピラール日語校のすごさ㊦ 子供たちの教育を真剣に討議

ピラール日語校のすごさ㊦ 子供たちの教育を真剣に討議
講演会に出席した人たち(提供写真)

 ピラール・ド・スールの3つ目のすごいところとして、国際交流基金サンパウロ日本文化センター日本語上級専門家の福島青丈氏は「町そのもの」を挙げる。適切な大きさの都市で、言語資源(日本語人材、日本語学校)が存在することや、一定数の子供がいて、「素晴らしい施設と素晴らしい文化・伝統がある」と強調した。

 同氏は講演途中、参加者同士で「どんな子供になってほしいか」などの話し合いをさせ、最後に参加者との質疑応答も行われた。

 卒業生の金子まさき君(17、3世)は「知識も心も持っているのに、行動に移せないのはなぜなのか」と鋭い疑問を投げかけた。ブラジル学校の教師からは「私達ブラジル学校では日本語学校のようにはいかないが、どのようなことができるのか」といった質問も挙がり、予定の講演時間を30分オーバーするなど、参加者たちはこの日の講演内容を真剣に見聞きして子供の教育について考えた。
 最後に福島氏は「ピラール・ド・スールは、ブラジル、日本、世界の大切な資源。この資源は、活用しなければ無くなってしまう。この資源をどうするかは、地域の決断にかかっている」と講演を締めくくり、参加者にエールを送った。

 サンパウロ州立小中学校で校長を務め、現在は市の教育局長であるベラ・ルシア・ニコメデス・マセド氏は「私達はみんな日本語学校の教育の評判は知っているし、今日は実際にどのような活動を行っているのかを知りに来た。どのような話を聞けるか期待してきたし、参加できてとても良かった。子供の教育に、ブラジル学校で貢献できることは何なのか」と教育に対する関心の高さを見せた。また、「ブラジル学校で問題となっていることの1つは、子供の教育に投資せず、熱心ではない家庭が多いこと。だから、子供も学校に価値を見いだせない。それは保護者会への参加人数が少ないことからも分かる」とブラジル学校での教育問題の核心を指摘した。

 ピラール日本語学校校長の南満氏(80、福岡)は「色々な人に日本語学校のことを知ってもらうこのような企画は、とても良いこと。昔の生徒はもっとすごかったけれど、先日、サンパウロで行われたスピーチコンテストでも子供たちは優秀な成績だったし、福島先生の話を聞いて、今の子供達もすごいんだと誇りに思う」と感心していた。 

 2人の子供を日本語学校に通わせている小田よしえさん(30代、2世)は、「(ピラール日本語学校には)福島先生が話したように、こんなに資源が豊富であることを知った。それなのに、ちょっとしたことが理由で学校をやめさせたりする親がいるのは残念」と話す。10年以上娘を通わせている西園エリーザさん(40代、2世)は「ピラールの現地の先生はみんなバイリンガルだし、とても恵まれているのだと感じたし、町や日本語学校には豊富な資源があるということも分かった。でも、その資源をまだ十分に活用できていないように感じるし、もったいないと思う」と、同校がさらなる可能性を秘めていることを感じているようだった。

 同校の教師は、「何かにつけ『時代が変わったから』という言葉をよく耳にするが、児童に対する日本語教育を行う学校で大切なことは、今でもそれほど変わりはないと思う。昔から行われてきた教育を信念を持って続けてきたが、福島先生のような専門家が学術的な知見からその意義を語ってくれ、学校活動や教育内容の一つ一つに明確な根拠や説明を与えてくれた」と大きな自信を得た様子。

 また「一昔前には、どこの文協の学校でも同じことをやってきていたはず。福島先生はこの町には大きな資源があると言っていたが、ここは何も変哲もない地方の田舎町。それらは元来、この町に備わっていたものではなく、ここの人達が今まで努力を絶やさず築き上げてきたもの。現在でも活発にその教育が続けられるのは、日本語教育を通して子供の教育を行っている日本語学校に対して、多くの保護者や文協がその意義をしっかり認識し評価してくれているから」と、学校関係者の積極的な協力姿勢を最大の要因として挙げた。そして、「今後も時代は変わっていくと思うが、それに流されることなく、子供が社会で生きていく上で大切だと思うことを最優先に考えて地に足を付けた活動を続け、ブラジル各地で先代の移住者達や日本語教師達が受け継いできたものを、しっかり守って次の世代に伝えたい」と思いを見せていた。(おわり)

2017年10月21日付

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