ブラジル・サンパウロ 「世界最悪レベル」と言われる治安の悪さ㊦

ブラジル・サンパウロ 「世界最悪レベル」と言われる治安の悪さ
サンパウロ日本人学校玄関

◆自由に遊べない駐在員子弟

 サンパウロにいる駐在員子弟のはっきりした数字は把握できていないが、小、中学生が通うサンパウロ日本人学校の生徒数は約160人、そのほかに学齢に足していない幼児も少なからずいる。1970年代、このサンパウロ日本人学校は海外にある日本人学校としてはシンガポールに次ぎ生徒数1,000人を超えるマンモス校で有名だった。このため、同校の敷地面積は12万平方メートルもある。今はほとんど使われない教室もあるなど、老朽化が進んでいる。

 この学校は、日本人駐在員が暮らすサンパウロ中心部から20kmほど離れたカンポ・リンポ地区にあり、朝晩の通学時は道路が大渋滞するため、1時間以上かかるという。通学するには父兄が車で送り迎えするか、スクールバスで通うしかない。ほとんどが、スクールバスを使用するのだが、このスクールバスのコースが決められているため、子どものいる駐在員はコースの近辺に住まざるを得ない。しかし、そこは家賃の高い地域なのだ。数年前、「父兄会でスクールバスの経路を広げてもらえば、もっと安い家賃のアパートに住むことができるのではないか」と駐在員に聞いたことがある。その駐在員は、「長く住んでいる人が、『私たちも長年、ここで暮らして高い家賃を払ってきたのだから、あなたたちもそうすればいいでしょう』と言われたのですよ」と嫌がらせともいえる言葉に苦笑いした。

 さらに、悪い事には同校の周りはファベイラと呼ばれる貧民窟があり、周辺の治安が悪く、何年も前から学校を移転する話は出ている。しかし、場所が悪く売りたくても買い手がつかない状況で、便利な場所への移転ができないという。

 通学がこのような状態だから、日常生活も大変だ。帰宅後、塾に通うにしても友人宅に遊びに行くにしても一人で動くことが危険なため、母親がタクシーで同行せざるを得ない。しかも、公園や街路で遊ぶことができないため、せいぜい、アパートの敷地内か、屋内に限られ、自由が束縛されてしまう。

 サンパウロに限らずブラジルの場合は、子どもの誘拐がビジネスとなっており、いつ誘拐されるかわからない。これは、私立幼稚園、私立学校などに通うブラジル人の子どもも同じだ。

 せっかく、海外に住んでいるにも関わらず、ブラジル社会やブラジル人の子どもたちと接する機会がほとんどない状態では、国際性が身に着くどころか、自由を制限ざれ閉鎖的な生活を強いられることになる。地元の日系人からは「子どもたちがかわいそうだ。何とかしてやれないのか」と日系団体が所有する施設を使うことを提案したこともあるのだが、話が進まなかった。

 駐在員の人達はこのような生活しかできない以上、子どもを同伴して治安の悪い地域で暮らすことを考え直した方がいいのではないだろうか。(おわり)

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