ブラジル人漫画家奮闘記㊥ 伯国の99%がアマチュア

ブラジル人漫画家奮闘記㊥ 伯国の99%がアマチュア
Brazil Manga Awards-Prêmio Brasileiro de Mangás(ブラジル・マンガ大賞)の昨年の募集広告(写真はJBC出版社提供)

◆伯国漫画家交流事情
 一口に漫画と言っても、日本のストーリー漫画(マンガ)、アメリカン・コミックス(コミックとは、ストーリーのある「コマ割り漫画」)など多種多様。ファビオさんの話によると、マンガ家及び漫画ファンが集まるブラジルのイベントは、サンパウロ市のサンパウロエキスポで開かれる「Comic Con Experience(毎年12月)」、ミナス・ジェライス州ベロ・オリゾンテの「FIQ-Festival Internacional de Quadrinhos(毎年9月)」、セアラー州フォルタレーザの「Sana FEST(毎年1月)」の3つだという。

◆伯国マンガ事情
 ファビオさんの話によると、ブラジル人マンガ家の約9割が、パソコンで「Photoshop(フォトショップ)」などの画像編集ソフトを用いて作画をするデジタル方式でマンガを描いているという。

 デジタル方式が主流になっている背景についてファビオさんは、「当地のブラジル人が、アナログ方式でマンガを描くためには、専用のペンやインク、トーン処理で用いるスクリーントーンなどの画材道具を日本から取り寄せる必要があり、費用が高くつく。しかし、作画における下書きから仕上げまでの工程の一部またはすべてをパソコンで行えば、費用を抑えることができるし、時間も節約できる。スキャナーやプリンターなど必要機材を揃えるための初期投資費用こそ多少高くつくが、デジタル方式を採るのが合理的なのでは」と考察する。

 また、同地マンガ家のマンガの販売方法についてファビオさんは、「日本のマンガ業界とは異なり、ブラジルのマンガ業界は出版社を通じて漫画を刊行するプロのマンガ家というのは存在しない。一部例外を除いて、彼らの99%はアマチュアだと思う。僕を含めて、彼らはインターネットやイベントを利用して、個人で販売している。仮にマンガ家が出版社に原稿を持ち込んで製本されたとしても、それが本屋で販売された場合、販売価格の約1割が作者に、5割が出版社に、4割が本屋に入る。個人販売なら、本屋に出ない分の約5割を自分の手取りにできるので合理的だと思う」との見解を述べた。

 ブラジルのマンガ家は、マンガ家の絶対数が日本に比べて圧倒的に少ないことから、出版社へ原稿を持ち込んでも、出版社から応対されることは原則としてない(ファビオさんの場合は、音楽会社からマンガ制作の依頼を受けたからで、原稿を持ち込んだわけではない)。

 だが、当地マンガ家の作品を取り上げる出版社もある。日伯両国で事業を展開するJBC出版社は2014年から「Brazil Manga Awards-Prêmio Brasileiro de Mangás(ブラジル・マンガ大賞)」を主催し、応募作品の中から選ばれた優秀5作品を出版している。応募に関しては、日本のストーリー漫画(マンガ)を描く18歳以上の者で、残虐性の高い内容でなければ作風は自由となっている。

 昨年度の応募作品について、JBC出版社翻訳家担当のチアゴ・ノジリさんは「ファンタジー系や格闘系が大多数を占める中、少数ではあったが恋愛や探偵系も見られた。だが、作風を自由に設定しているにも関わらず、ホラーやアダルト系の作品はなかった。応募者の男女比率は男性9割、女性1割。ブラジル全体のマンガ家は、応募者総数から見積もって300人はいると思う」と話す。

◆伯国マンガ画材道具事情
 当地の作家の大多数が、画材道具が入手困難なことから、そのほとんどがデジタル方式で制作している。デジタル方式と言っても、制作のすべてをパソコンで行う『フルデジタル作家』もいれば、キャラクターの作画のみは原稿用紙に手描きし、それ以外をパソコンで行う作家もいる。

 フルデジタル作家の場合、マンガを描くために、マンガ制作用のソフト、原稿用紙の代わりとなる液晶ペンタブレット、その他に専用のペンなど付属品の専用機材を揃える必要がある。

 だが、これらをブラジルで揃えた場合、輸入品となるため関税がかかり、日本円で150万円はかかる。ノジリさんの話によると、作家たちは費用節約のために諸外国に足を運び、機材を購入しているという。(つづく、羽田和正記者)

2016年2月8日付

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