【特集:民謡協会①】ブラジル日本民謡協会創立50周年 日本の協力得た半世紀の歩み

ブラジル日本民謡協会創立50周年 日本の協力得た半世紀の歩み
40周年式典後に行われた記念公演

新たな取り組み続け、今後も躍進

ブラジル日本民謡協会創立50周年 日本の協力得た半世紀の歩み
40周年式典の様子

 ブラジル日本民謡協会(塩野彰会長)が発足して、今年で50年を迎える。日系社会の民謡の歴史は古く、1908年の日本人移民開始直後から、多くの民謡愛好家が各地で保存会や研究会を発足させ、独自に活動を行っていた。第2次世界大戦が終戦し、日本文化が解禁されると、再び多くの同好会が発足。民謡が盛んとなる。そんな中、各地の民謡界の指導層や日系社会のリーダーらによって、1968年に同協会が発足。半世紀という長い間にわたり活動を続けてきた。現在は年齢を問わず多くの会員が所属し、世代交代が進む中で節目となる50周年を迎える。

 同協会の発足は1968年5月20日。日系社会民謡界の有力者、指導者により発足した。発起人には田村幸重、平田進両連邦議員や中沢源一郎、宮坂国人など当時の日系社会のリーダーら65人も名を連ね、初代会長には内山良文氏が就任した。同年11月には、現在も続く「全伯日本民謡大会」をブラジル日本文化福祉協会のホールで初開催し、協会の活動を本格化させた。

 発足後は文協のコロニア芸能祭や各種チャリティショーに積極的に参加。77年と78年には本社主催の日本民謡使節団の伯国公演が行われ、理事長代理として今回来伯する佐々木基晴氏も団員としてブラジルの地を踏んでいる。同公演を機に日系社会での民謡人気はさらに高まり、79年には財団法人日本民謡協会から伯国支部として正式に認可された。

 70年代後半から80年代中盤にかけては石川少年少女民謡会の活躍で、若い世代に民謡ブームが起こる。そんな中、同協会は発足当時から引き続き、各地でのチャリティーショーへの参加、各記念行事での地方巡回公演などに力を入れる。また、藤瀬圭子氏の企画演出で、81年に文協大講堂で行われた国際身体障害者チャリティショーには共催団体として協力。その後、7つの日系福祉団体で行われたショーにもすべて協力した。

 88年には日本で行われている民謡民舞全国大会内閣総理杯争奪戦への出場資格が与えられ、同年の大会優勝者である山田チエさんが伯国代表として初出場。以来、30人の優勝者が日本での大会に参加している(今年の優勝者は安永幸柄さんで、10月に東京都で大会が行われる)。

 90年代に入ると江差追分会の発足、米本流津軽三味線教室の開校など、民謡界の新たな動きが活発化。96年には同協会と伯国日本同志協会、郷土民謡協会が集まり、「第1回ブラジル日本民謡大賞」を開催し、審査委員長に佐々木氏を迎えた。90年代後半にはタウバテ民謡会の子弟らを中心にタウバテ少年少女グループが結成され、洋楽器や和太鼓を取り入れた民謡が人気を博し、若年層の間で第2次民謡ブームが起きた。

 2000年代に入ると活動範囲はさらに広がっていく。青年部が結成され、裾野が大きく広がった。近年では若年層の民謡大会への参加は年々増加。この動きを受け、2014年の全伯民謡大会からは幼年の部と少年少女の部を新たに設立するに至った。

 現在は全伯内に14の支部を抱え、恒例行事開催や各芸能祭への協力、支援などその活動は衰えることを知らない。今年に入り、日本で行われる民謡民舞少年少女全国大会へのブラジルからの出場権利取得交渉も開始した。また、新しい歴史が生まれる中で千葉忠巳氏、佐々木重夫氏(サ好友会)、土生文吉氏(サ民謡会)、猪狩親一氏(サ保存会)の指導者らが聖市内だけでなく、モジ、スザノ、サンジョゼ・ドス・カンポス、ソロカバ、レジストロ、ソロカバナ沿線、プレジデンテ・プルデンテとパラナ州ではマリンガ、ロンドリーナ、クリチバ市などでも指導し、今日の民謡協会の普及発展に貢献されたことは歴史に残したい。

 同協会は、民謡界の若い世代を増やし新たな取り組みを続けながら、今後も歩みを続けていく。

歴代会長
初代   内山良文 (故) 1968年 ~ 1993年
二代   猪狩武俊 (故) 1993年 ~ 1998年
三代   小篠マリオ(故) 1998年 ~ 1999年
四代   石川 諭     1999年 ~ 2004年
五代   横山 正     2004年 ~ 2014年
六代   塩野 彰     2014年 ~ 現在


日本の桧舞台への夢 佐々木基晴氏の功績 88年から毎年日本の全国大会へ

 68年に発足した伯国日本民謡協会は、日本とのつながりが少なかった。77、78年、サンパウロ新聞社主催で日本の藤尾隆造氏を団長に第1回、第2回の日本民謡使節団のブラジル公演(文協記念講堂)により本場日本の民謡界との交流が深まり、新たな時代を迎えた。このとき、佐々木基晴氏も団員として参加。

 翌年、北海道協会創立40周年、道人移住60周年の慶祝団団長として佐々木基晴氏参加した折に、財団法人日本民謡協会よりブラジル支部と認定された。だが、日本からブラジルへの一方通行の交流が続いた。

 協会では、ブラジルの民謡歌手を日本の桧舞台に立たせようと佐々木氏に懇願し、ようやく、88年なり日本民謡協会の民謡民舞全国大会の内閣総理杯争奪戦にブラジル代表者が招かれるようになった。これを実現させたのは、当時、日本民謡協会の理事だった佐々木基晴氏の尽力だった。

 以後、毎年ブラジルからブラジル大会優勝者が日本に招かれている。


日本民謡協会主催 民謡民舞全国大会 内閣総理大臣杯争奪戦
ブラジル支部代表出場者

代 / 年度 / 出場者名 /  曲目
初代 1988 山田 チエ  江差追分
2代  1989 江口 マサエ 十勝馬唄
3代  1990 坊  和子  津軽道中馬方節
4代  1991 古島 末雄  津軽山唄
5代  1992 横山 孝子  日光山唄
6代  1993 柴田 智映子 秋田追分
7代  1994 佐藤 元宏  日光山唄
8代  1995 伊藤 喜代子 本荘追分
9代  1996 千葉 幸子  秋田長持唄
10代 1997 山本カナエフェルナンダ
       しゃんしゃん馬道中唄
11代 1998 石光 文江 生保内節
12代 1999 依田  剛 日向木挽唄
13代 2000 松村 有美 十勝馬唄
14代 2001 永田 理文 江差追分
15代 2002 海藤  司 最上川船唄
16代 2003 久保 時雄 江差追分
17代 2004 井上 八郎 帆柱起し音頭
18代 2005 清原みどり 祖谷の粉挽き唄
19代 2006 海藤 紀世 秋田船方節
20代 2007 松田 国子 南部木挽き唄
21代 2008 横山  正 山形木挽き唄
22代 2009 加藤 正則 灘酒造り祝い唄
23代 2010 佐藤 吉治 秋田馬子唄
24代 2011 海藤 晶子 秋田馬子唄
25代 2012 太田 信子 外山節
26代 2013 川岸貴美子 日向木挽唄
27代 2014 塩野  彰 山形馬喰節
28代 2015 中島 幸夫 最上川船唄
29代 2016 海藤 洋平 帆柱起し音頭
30代 2017 安永 幸柄 道南口説節


祝辞
祝 辞 公益財団法人日本民謡協会 理事長・三隅 治雄
三隅 治雄

公益財団法人日本民謡協会 理事長・三隅 治雄

 このたびの「創立50周年記念式典並びに記念民謡交流大会」の開催まことにおめでとうございます。 ブラジルは南米大陸で最大の面積を有する広大な国家であります。

 「移民の国」といわれるブラジルでは、現在約160万人とも言われ る日系人が生活しており、勤勉実直で正直な日系人の皆様の努力が大 きな信用を獲得し、ブラジル国発展の礎となったものと考えます。

 過去に訪伯した民謡使節団の先生方からは、現在の日本では忘れられかけた古き良き「日本の心」が会員皆様の中に脈々と伝播伝承されておると聞き及んでおります。

 50周年を記念して訪伯したこのたびの民謡使節団のメンバーと、 ブラジル支部会員の皆様との交流が、日本伝統文化である民謡民舞を通じて更に深まることを希望いたします。

 終わりに、このたびの式典並びに交流大会の開催にお力添えをいただきました会員の皆様に感謝を申し上げますとともに、ご来場いただきました皆様のご健勝とご多幸を心からお祈りいたします どうぞ本日は、日頃のご精進の成果を十二分に発揮され、心に残る楽しい舞台となりますようご祈念申し上げます。

 また、これからも民謡民舞の発展にご尽力下さいますようお願い申し上げ祝辞といたします。

 

祝辞
(公財)日本民謡協会理事長代理・佐々木 基晴
佐々木 基晴

民謡名人位
民謡道 佐々木基晴連合家元 
(公財)日本民謡協会理事長代理・佐々木 基晴

 ブラジル民謡協会創立50周年記念おめでとうございます。

 此の度ブラジル日本民謡協会が50年の長きに渡りまして、日本民謡の発展に努めらてこられました皆様の御努力に心から敬意と感謝を申し上げます。

 50年前は三味線も尺八も少なく、小さなグループだったと思います。

 私も40年前発足して間も無くの頃にブラジルに参りましたが、その頃のブラジル日本民謡協会にこれからとの意気込みを肌で感じてきました、その後私の十数回の訪伯も挟んで、今日までの協会の歴史を作り、強いては日本の伝統文化の民謡の普及伝承につながったものと心から喜んでおります。

 しかし乍ら、今のブラジル民謡会は驚く事ばかりです。

 三味線グループの豪華な演奏、又、尺八グループの音色の美しさ、そして民謡歌手の見事な唄い振りに驚くばかりです。三味線演奏と民謡の唄い手は日本の民謡会を勝るとも劣らない内容です。

 本日のブラジル民謡協会創立50周年記念は、ブラジル日本民謡協会の誇りある記念の日です。心からお慶び申し上げます。

 今後の民謡は、共に心を合わせ手を取り助け合い乍ら、民謡を通して心のふれあいを第一に明るく楽しい社会づくりの為にもなる民謡会を育てて参ります事が第一の目的です。

 日本民謡を唄い合う仲間同志はいつも優しい心で民謡を広めて参ります事がこれからの民謡の普及と発展です。

 今後ブラジル日本民謡協会の益々のご発展を心から祈っております。

 

ごあいさつ
  会長、支部長・塩野 彰
塩野 彰

ブラジル日本民謡協会
(公財)日本民謡協会ブラジル支部
会長、支部長・塩野 彰

 ブラジル日本民謡協会創立 周年記念式典をここブラジル日本文化福祉協会の記念大講堂にて開催出来ますことは、会員の皆様をはじめ関係者のご指導ご支援によるものであり心より厚くお礼申し上げます。

 本記念式典には公益財団法人日本民謡協会より金子利夫常務理事様を団長に慶祝民謡親善公式訪問団をお迎え、記念公演をして頂きますこと心より御礼を申し上げます。

 協会理事長代理として十六回の来伯をされます民謡名人位の佐々木基晴先生はじめ、数々の民謡日本一の保持者の皆様が民謡の真髄をご披露して頂き懐かしい故郷に想いを馳せながら、日伯親善友好の交流がなされる事を願っております。

 来年はブラジル日本人移民110年です、移民初期より苦難を乗り越え、今日のブラジルの社会の中で誇れる日系人社会を築き上げてきた先人の方々、その中で民謡は暮らしの支えとして歌い継がれきたでしょう、戦後数団体あった民謡界の代表者の合意により 年前ブラジル日本民謡協会が創立されその半世紀の間、民謡の普及・向上と協会の継続に努力されきた先輩の熱意に敬意と感謝を申し上げます。

 次世代への継承・交代が大きな課題になっておる中、先生方の熱意により年毎に大会の少年少女の部と青壮年の部の参加者が増えてきています事は、誠に嬉しいかぎりです。 周年にあたり民謡界が益々盛んになり同時に世代交代が出来ればと祈念するものであります。  

 明日に向って歌おう 日伯交流民謡民舞の祭典と称して、慶祝団の皆様とブラジル側の最年少者・最高齢者を交えた皆様の民謡とコロニアの日本舞踊界の先生方の快い協力で民舞に華を添えて頂きます。心よりお礼申し上げます。

 日本の心である民謡民舞を最後までゆっくりと楽しんで頂きます様願います。

 おわりに、本祭典開催にあたりPradaise Golf & Lake Resort社の堀井文雄社長様には多大なご支援をいただきましたこと、また多くの皆様にご協力いただきましたことを心より厚く御礼を申し上げ、皆様の益々のご活躍とご健勝をご祈念申し上げます。

 

2017年7月15日付

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