メキシコ ルチャリブレ観戦記㊦ 目まぐるしい展開の会場

メキシコ ルチャリブレ観戦記㊦ 目まぐるしい展開の会場
アクロバティックな動きが魅力のルチャリブレの試合

 試合が進むごとに観客の歓声も大きくなり、ラウンド・ガールのお尻の振りも大きくなった。

メキシコ ルチャリブレ観戦記㊦ 目まぐるしい展開の会場
試合前に行われるラウンド・ガールの踊りに見入る観客たち
 中盤のシックスマン(6人)タッグマッチでは、善玉役になぜか身長130センチほどの小人(こびと)ルチャドール(レスラー)とピンク色のミニスカートをはいたゲイのルチャドールも登場。さすがは鷹揚(おうよう)なラテンの国メキシコ。記者のすぐ後ろの席に座っていたメキシコ人のオバちゃんが大ウケで、デカい声で「ギャハハハハ」と笑い出す。

 小人ルチャドールは超軽量級のため、悪玉レスラーに軽々と持ち上げられ、リング外の花道で投げつけられるなど、滅茶苦茶にやられている。見た目はまるで子供のような扱いで、全く歯が立たない。一方のゲイ・ルチャドールも、ピンク色に染めたモヒカン頭とスカートをヒラヒラさせながら戦うが、悪玉側の餌食になり、これまたコテンパンにやられている。

 歓声が沸く中、ゲイ・ルチャドールが必死の反撃。悪玉役で筋肉隆々の白人系レスラーの唇にいきなりキスをし、闘争本能を失った白人系レスラーがカウント3を取られて善玉側が勝利するという何とも漫画のような展開だが、観客はヤンヤの歓声で沸いている。後ろの席のオバちゃんが、またもやデカい声で「ギャハハハハ」と笑っていた。

 リングの様子を見るのも当然楽しめるが、観客の反応を見るのも面白い。記者の右隣りに座っていたメキシコ人は、会場内で1杯70ペソ(約500円、市販では15ペソ、店では40ペソ前後)もする大型紙コップビール(約600ミリリットル)を立て続けに5、6杯も飲んでいる。騒ぐたびにビールがこぼれ、床下はビトビトに濡れている。また、前の観客席にはマスクを被った観客が、試合そっちのけで自分たちの写真をスマホで撮りまくっている。「人生とは何か」を考えさせられる瞬間だ。

 リング内のルチャドールの試合を見たり、観客を見たり、ラウンド・ガールのお尻を見たりと目まぐるしい展開が続く中、いよいよ最後のメインエベント「ファイナル・マッチ」が始まった。

 テレビ中継もされる「ファイナル・マッチ」は善玉と悪玉のシングルマッチで、これまでの大体の試合では善玉が勝っていたようだが、この試合は勝手が違った。最初の花道から善玉がボコボコにやられており、場外乱闘状態に。場外では、リングサイドの観客を防御する高さ1メートルほどの板に善玉が投げつけられ、鈍い音がこちらにまで響いてきた。

 悪玉も左肩に傷を負い、流血するなど激しい試合展開となり、結局、悪玉ルチャドールが勝ったようだ。怒号と歓声が入り交じり、会場内の興奮度も頂点に達した。

 その後、勝利した悪玉ルチャドールが花道から引き上げる際、花道すぐそばに座っていた観客の子供が突然、自身が飲んでいた紙コップのジュースの残りを、その悪玉ルチャドール目がけてブッかけた。あまりの恐ろしい光景に一瞬、身の毛がよだったが、悪玉レスラーもさすがに観客の子供には手を出せないようで、両手を広げて「困ったな」という仕草と表情を見せた。勝ってもジュースをブッかけられる悪玉ルチャドールの悲しい宿命を見た思いだった。

 こうして無事、ルチャリブレの全試合を見た我々は、意気揚々とホテルに引き上げたのだった。(おわり、松本浩治記者)

2016年1月13日付

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