モザイク 2017年11月8日付

 司祭の比嘉エバリストさんの趣味は、世界中のマリア像を集めることだそう。取材中にいくつかの写真を見せてもらったが、これが面白かった。世界それぞれの文化によって、マリア像の肌の色も顔形、着物もまったく違う。中には肌が黒いマリア像もあれば、インドのものはインド人女性のような顔をしているし、インドネシアのものなんかはパッと見たところ、キリスト教世界のものには見えなかった(下手くそな描写で申し訳ないが)。沖縄のマリア像は日本人形のようなおかっぱ頭で和服を来た女性が子を抱えていて、これもなかなか驚きであった。東西南北、同じ人物の物語(聖書)が伝わっても言葉からイメージされる視覚像は異なるのだなと感じた。年内には、この比嘉さんが集めたマリア像コレクションの展示会もする予定だとか。
     


 キリスト教世界のみでなく、仏教でもこういうことは起こる。中国甘粛(かんしゅく)省の敦煌(とんこう)市には世界遺産の「莫高窟(ばっこうくつ)」がある。これは巨大な絶壁に、約1000年間かけて掘られた600個あまりの洞窟群で、秦代から元代までの仏教関係の壁画や仏像が保存されている。美術、歴史、宗教、文化、何が好きな人でも目が飛び出るほど驚く世界遺産だが、ここでも時代によって全く仏像の顔が違ったのを記者は覚えている。日本の鎌倉・平安時代でも仏像の顔は違うが、1000年分の美意識の変遷はもはや「手のひら返し」のレベル。記者も産まれる時代が違えば、もう少しイケメンとか言われたのだろうか。
     


 こうして書きながら、思い出した人がいる。ラオスの北部の安宿で会った日本人のおじさんで、その職業は仏像ハンター。世界各地で売られている仏像をその鑑識眼で選別し、世界中でかき集めて、日本や中国で高価で売りながら資金を作って旅をしていた。確か、インドネシアのジャカルタが拠点だと話していた気がするが、「なんでも仕事になるもんだなあ」と驚いたのを覚えている。ミャンマーの民主化以降、少しずつ観光でも入れる地域が増え、地方に埋もれている仏像を狙っているとか言っていた。しかし、鍵付きのスーツケースの中に仏像をゴロゴロと抱えながら旅をして気味悪くないかと思ったものだが、「逆に守られている気がする」と笑っていた。彼は元気だろうか。

2017年11月8日付

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