モザイク 2017年9月13日付

 石川さんらが研究するヤノマミ族の食用キノコが食べられるのは、聖市内ジャルジン区の「D.O.M.」と「Dalva e Dito」という、どちらもフランスのミシュランガイドに登録されている有名店。著名なシェフのアレックス・アタラ氏がブラジルの食材の魅力にこだわって経営しているという。アレックス氏は、石川さんの受章に対し、「(先住民が長年培ってきた知識も非常に大切だが)科学的かつ体系的な方法で研究も行われている。石川さんは26年に及んでブラジルのキノコの食用だけでなく、栽培の可能性も体系的に研究してきた。この点に関して、石川さんは疑いもなく、前にも後にもいない人物」とメッセージを寄せた。
    


 石川さんによると、何故ヤノマミ族のところに食用キノコが生えるのかについては、畑を作る時にインディオが倒した樹の上を歩く際、足の裏に付着した菌株を散布しているからというのが有力という。インディオは、生活そのものが熱帯雨林のサイクルの一部になっていて、長年培ってきた生き方が次の世代のためになっていることには驚く。キノコが食用かどうかも何世紀の知識によって見分けられるそう。ちなみに、記者は取材中にこのヤノマミ族のキノコを見せてもらった。水で戻すと、香りが非常に強く、確かに干し椎茸に近い香りがするものもあった。リゾットやラザニアなども試食させて頂いたが、正直、料理そのもの美味すぎて、調理の仕方がウマいのか、キノコがウマいのかよくわかりませんでした。ぜひ皆さん、自身の舌でアマゾンの風味を感じてみては。
    


 元理系で生命工学をカジッていた記者は、石川さんから最近進んでいる研究の話を聞いた。近年キノコのゲノム(遺伝子情報の全体)解析が進んでいるらしく、どういうキノコの仲間がどういう経路で分化し、世界に分布していったかなどがわかるらしい。コロンブスの「新大陸発見」のとっくの前に、今のインディオたちが「新大陸発見」をしていたのだが、キノコによる「新大陸発見」もあったかもしれない(アリでもナメクジでもワカメでもなんでも良いのだが…)。理系学生時代はこういう世界観が好きで、生物ごとに時間や世界が全く違うと提唱したドイツの生物学・哲学者ユクスキュルなんかが好きだった。所詮人類の歴史なんて、地球上のあらゆる生命の歴史からみればハナクソみたいなものだとイキガッていたのを思い出した。いつの間にかそういうものからは「改宗」して、記者は人間まみれの仕事をしていますが、今となってはやっぱり人間の方が面白いのが本音です。
     


 国費留学生の歓送会に参加していた佐田あけみさん。記者は一瞬、どこかで見たことがあるなと思ったら、サンパウロ市の文協の図書館で受付のアルバイトをしていた人!と思い出してびっくり。記者も本を借りたりする際、お世話になっていたのでつくづく世間は狭いなと実感。文協図書館は佐田さんの後任のアルバイトを募集しているとのこと。今月30日までに見つからないと、佐田さんが仕事の引き継ぎをできないため、急いでいるらしい。本が好きな人には面白い仕事では。

2017年9月13日付

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