モザイク 2017年9月23日付

 「高齢者向け音楽リハビリ」の会場には、日本から派遣されたJICAボランティアも参加していた。憩の園で活動するシニアボランティアの森高郁代さんは、自身の活動費を割いてでも憩の園に導入したいと話していた。「高齢者の健康と自己表現のために、ナタル(クリスマス)に向けて毎週練習したりします。これから作業療法士の方と相談します」と熱意を見せていた。また、今年7月にできたばかりのスザノ市の介護サービス「Bem me care centro dia do idosos」ではこの音楽リハビリを既に導入しており、鈴木ミレナゆり代表は、「楽器の経験のない人も参加でき、演奏することは身体にも有益」と評価していた。


 同音楽リハビリの会場には、ブラジル宮城県人会の中沢宏一会長の姿も。「子供に返ったみたい」と微笑み、楽しんでいる様子だった。USPのローザ氏は同県人会の副会長も務めており、「(会館も)援協の近くだし、老人介護のセントロにすることも考えていたところで、(同県に拠点を置く㈱ゆらリズムの菊地氏らの来伯があり、)良い機会」と話していた。初来伯となったJICA東北の山口氏は、ブラジル全体で見ると高齢化は顕在化しにくいいものの、「日系社会でみると日本と同じような問題を抱えているはず。(JICA東北として)東北5県を担当しているが、県人会とも連携して地域活性化にも繋げていければ」と前向きな姿勢を見せていた。
     


 JH「里山」展での成澤氏の講演は、確かに日本人の記者にも驚きがたくさんあった。例えば、「活け締め」という魚の調理法があり、身が固くなったり、血が回る前に臓器を除き、血を抜く。そうすることで嫌な臭いも雑味もなく、透明感のある魚の身が保てる。これは、一度に取れる魚の量が少ない日本だからこそ生まれた技術だと指摘していた。牛肉に関しては、日本の和牛はやわらかく脂(あぶら)が多い。これは牛を放牧するほど土地が広くないから、牛が運動不足になった結果である。ここまでは記者も知っていたが、それだからこそ、しゃぶしゃぶで脂を落としたり、すきやきのように砂糖を使うことで脂をさっぱりさせて食べやすくするという。こうした日本の食文化の合理性の説明には、会場もうなっていた。
     


 成澤氏はブラジルには数度来ているが、サンパウロ市内のセルジオ・コインブラ氏のスタジオくらいにしか行ったことがないという。記者はコロニア食、つまりブラジル日本移民がブラジル各地で残してきた日本食、あるいは工夫しながら作り続けてきた日本食に関して質問をしたが、「別に何が正しいわけでもないし、記憶をたどって日本食を作るのはできるはず」といったことくらいの応答しか得られなかった。サトウキビを焦がして「醤油」を作ったりした他、ゴボウや柿、シイタケなどをブラジルに導入したのは日本移民であり、食文化(農業も含めて)は日系社会が伯国に貢献してきた文化のいわば十八番(おはこ)だと記者は思うのだが。もちろん、その辺の言及は展示には一切ない。食文化に関する展示は、JHが日系社会と連携する大きなチャンスだったのでは……。

2017年9月23日付

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