モザイク 2018年1月9日付

 ご飯が美味しいと名高い弓場農場。厨房の引き出しには、表紙も茶色くなり、かなり年季の入った手書きのレセイタ(レシピ)の本があった。保存食や、ソース類、麺類、味噌やジャム、豆腐、こんにゃく、菓子もとにかく何でも手作り。日本の料理雑誌の切り抜きも貼られていたり、それぞれのレセイタを提供してくれた人の名前も記載されている。コロニアの食文化の生きた歴史資料だ。卵の大きさや微妙なサジ加減も農場のキッチン設備や味に合わせて手書きで調整されていて、厨房に立つ女性たちのこだわりの跡が見いだせる。しかし、この分量表だけでは美味しい料理は作れず、細かい感覚は実際に一緒に厨房に立ちながら、代々「手渡しで」伝えられている。「母ちゃんの時はもっと人が多かったから大変だったよね。農場が破産した時にパッタリ人が来なくなったのが一番寂しかったって」と弓場勝重さん。弓場に限らず、日系社会には女性たちならではの視点があるなあと実感しました。
     


 ブラジル国内で、2019年末までに自動車の定期点検(車検)が義務付けられることが、ブラジル交通審議会で決議された。記者にとっては、義務ではなかったことにまず驚いたが、定期車検を受け入れるほど、検査可能な場所があるとも、一律の検査基準があるとも思えない。場所によって、人によって違うというのがブラジルの常だ。日本ではことあるごとに車検証の提示を求められ、不携帯の場合は50万円以下の罰金。ブラジルで義務化された後に、未車検の車には195・23レアルの罰金が課されるというが、やはり安全面での意識の差が罰金額に表れており、日本の最大の額との差額は1万レアルを優に超える。ましてや、この格差社会で、多額の罰金を払うのは不可能だ。
     


 先日、1960年代の本紙記事を参考資料として閲覧していると、地方版に目が行った。現在は版刷りは全て初版。刷り替えなども不可能で、地方版も存在しない。邦字紙の全盛期だったことがうかがえる。広告の数も比べ物にならない量で、印刷範囲外の紙面端にスタンプのように押してある広告もあった。先日話を聞いた日本の雑誌出版社の代表も、紙の発行数の減少や、読者離れを懸念しており、デジタル化への移行も思案していた。ブラジル全国に印刷所を設けていた頃と比べると、邦字紙のスピードは落ちたように感じられるだろうが、インターネット配信へと移る中で、情報のスピードは上がっている。紙媒体の衰退が、情報のスピードと反比例する過酷な時代。今一度、新聞を読むことを思い出してほしい。

2018年1月9日付

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