モザイク 2018年4月17日

 美川憲一のチャリティーコンサートの協力券は、少し残っているだけとなった。A席は早々に売り切れ、残っているのはB席、C席だけだという。早めに購入いただかないとなくなってしまう。ご手配を。北はアマゾンから南はリオグランデ・ド・スル州まで何千キロも離れた遠隔地からやってくる人たちも多い。かと思えば、子どもたちがお金を持ち寄って年老いた母の日のプレゼントにと用意する人もいる。「何時に終わりますか。それまで外で待っていますから」という中年婦人。聞けば、貧しく、自分の協力券を購入するお金がないという。これを知った実行委員会の面々が、「我々がもう1枚用意して一緒に見てもらおう」という話も伝わってきた。人生悲喜こもごもである。
     


 いい話ばかりではない。ハゲタカのような連中もいる。この数年、日本から来伯する日本の歌手公演で席が売れず、直前になると無料で配布するケースが増えているからだ。「美川憲一の協力券もそろそろ無料で出てくるわよ」とそれを待っている輩も多いのだとか。「私は、ただでもらったのよ」と吹聴するおばさん族がいるのだ。チャリティーコンサートの意味も知らず、恥を知らない人たちに申し上げておく。万一、空席ができたとしても無料協力券は一切出さない。それが、このイベントに関わったサンパウロ新聞社の方針だ。悪しからず。
     


 チャリティーコンサートを支える実行委員会は50人近い。こうしたイベントをボランティアで手伝ってくれる裏方さんたちがいなければ成功はおぼつかない。とはいうものの協力券の手配から公演当日の場内整理まで仕事は幅広く、簡単ではない。昨今、この裏方さんたちの高齢化も避けることができない。思案の末、次世代の裏方を作ろうと今回は若手の人達を投入している。実行委員会で中心になっている司会者で有名な藤瀬圭子さんは言う。「民謡で活躍している若い人たちですよ。舞台でスポットライトをあたっているだけでなく、裏方の仕事を知ってもらったらきっと役に立つでしょう」と期待を込める。移民110周年は次世代を見据えた基盤づくりということなのだろう。
     


 デカセギ子弟のM・Kさんの記事についてだが、記者も本人も実名を出したかった。ただ、18歳未満の報道に関するブラジルの法関係に配慮して、止むを得ず匿名、顔写真なしになった。前回の斎藤マルシオ清さんの娘さん2人も同様。今回の連載には、デカセギ子弟たちを問題のある人間のようにレッテルを貼るのではなく、堂々と歩みや価値観を語ってもらい、一人一人の自尊心を大切にしたかった、という記者の狙いもある。1世の長い半生を取材したかのように紙面を取って書いているが、ブラジル日本移民の歴史の上に彼らは生きていると思うし、まだ若くとも詳細に記録する価値があると記者は思っている。

2018年4月17日付

コメント0

コメントを書く

Login

Welcome! Login in to your account

Remember me Lost your password?

Lost Password