モザイク 2018年7月21日

 今回の第57回パラナ民族芸能祭で、花柳龍千多さんが日本移民110周年を意識した曲が「さくらさくら」だ。移民100周年の時も踊ったというこの曲は、「日本を代表する曲」として選んだそうだ。振り付けも衣装も全て考えるという龍千多さんは、ピンク色の証明に桜の花を置き、水色の色鮮やかな着物と扇子や武士の格好で踊る人など、多彩な工夫を凝らしていた。龍千多さんがこの曲で何よりも大事にしているのが、「皆が仲良く踊るという意味で『和』」だという。「上手に踊るよりも、まず揃えることが大事。隣り同士合わせながら、仲良く『和』を大事に踊ってほしい」と事前に話していた。皆もそれを意識しているのか、本番ではピッタリと呼吸を合わせていたのは、さすがだ。
     


 記者が特に気に入った踊りが、「男の潮路」だった。3人の女性が男性の格好に扮(ふん)し、棒を振り回しながら力強く踊っていた。公演後にそのことを、踊っていた久保毬(まり)さん(68、3世)に伝えると、「実は、ペルーのリマで公演に呼ばれた時に初めて踊ったら、一番人気があったのがこの踊りだったの」と話してくれた。龍千多さんも、「この曲は他と少し変わっているからか、どこでも人気があるのよね」と話していた。確かに、美しく女性的な舞いを魅せる日本舞踊の中で、異彩を放っていたので目立つのかもしれない。とにかく、格好良かった。
     


 花柳龍千多さんは、日本に行くと踊りのアイデアがよく浮かぶという。「日本の空気を吸ったり、日本人の仕草を見るとアイデアが浮かぶの。手先とか足の動きとか、そういったものを見て影響を受ける」と話した。例えば、飲み物を飲む時の仕草など、何気なく日本人が行っている習慣は、当然だが日本文化に紐(ひも)付いている。普段意識することはなかったが、龍千多さんの話を聞いて自分はどうなのか思い返してみた。まあ、今はブラジルに染まりつつあるかもしれないが。
     


 第57回パラナ民族芸能祭で、琉球國祭り太鼓クリチバ支部に参加していた麻生誠一さん(27、3世)は、2015年から同グループに参加している。「実は09年に従姉妹に誘われた時は断った」というが、13年から14年まで1年間日本で勉強し、戻ってきてからすぐに参加したそうだ。「やっぱり日本に行ったら、文化を伝えたいと思った」とか。日本に行った日系人は自分のルーツを感じ、帰国後に日系社会に還元しようと考える人がいるが、麻生さんもそうだった。今年で参加するのは3回目だが、「1年で最も大切なイベントのうちの一つ」と話す。子どもからお年寄りまで世代を超えて、日本文化を披露することができる大切なお祭りだ。ぜひ、後世にも残すように続けてほしい。

2018年7月21日付

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