リオ五輪四方山話㊤ 選手の精神ケア活動を実施

リオ五輪四方山話㊤ 選手の精神ケア活動を実施
選手村内で記念撮影に応じる吉川住職(右から2番目)

本門沸立宗法昌寺の吉川住職

リオ五輪四方山話㊤ 選手の精神ケア活動を実施
仏教部屋の様子(写真提供=吉川住職)
 5日に開幕したリオオリンピック。日本人選手団の出場はもちろん、ブラジル代表として日系ブラジル人も多く参加し、日々盛り上がりを見せている。本紙でも記者が感じた会場や街の様子、日本人や日系人の活躍などを記者の目線を通し、リオ五輪の四方山話(よもやまばなし)を3回連載で伝えていく。(佐久間吾朗記者)

 オリンピックには選手としてだけではなく、本紙でも取り上げた体操競技審判の沢里由美さんのように、選手以外でも参加の仕方は様々である。リオ・デ・ジャネイロ市から車で約1時間半のイタグァイー市にある本門佛立宗法昌寺の吉川淳省(じゅんしょう)住職(39、3世)も一般的にはあまり知られていない、少し違った形でオリンピックに関わっている。

 吉川住職は、参加選手らの精神面をケアするカウンセラーの役割をオリンピック選手村内でボランティアとして行っている。選手村内には5大宗教(仏教、キリスト教、イスラム教、ヒンドゥー教、ユダヤ教)の部屋が用意された、信仰面から選手らの心を落ち着かせる宗教センターが設置されている。仏教の担当として吉川住職含め同宗派からは4人の僧侶が派遣されており、日替わりで部屋に入り、担当日は部屋が開く午前7時から午後10時まで、一日中対応している。

 訪れる選手の目的は様々で、お参りに来るだけの選手もいれば、悩みを打ち明けに来る選手もいる。「集中しなくてはいけないが、家族を思い出してしまう」、「優勝したい」、「イライラして仕方ない」などの相談に対し、吉川住職は「相手の状況や雰囲気によって対応を変え、選手が本番で全力を出せるような助言をするよう努めています」と話す。

 選手村のオープンに伴い、宗教センターも7月24日にオープン。8月5日の開会式まではのんびりした雰囲気だった選手村も、開会式以降は人も増え、ピリッとした雰囲気に変わった。選手村の移動時は「改良衣」姿の吉川住職らが珍しいのか、選手らから写真撮影を頼まれることもあり、また日本の報道陣からも取材を受けた。

 ただ、仏教部屋を訪れる日本人選手はほとんどいないそうで、14日現在で訪れた日本人選手は、同じく仏教の僧侶でもあるカヌースラロームカヤックシングル日本代表の矢澤一輝選手のみ。吉川住職は「日本で仏教と言うと法事と葬式などそういう印象しかないのか、仏教の部屋があること自体があまり理解されていないようだ」と残念な表情を浮かべ、「心身のバランスを整えることも仏教の教えの一つ。欧米の選手はその点をよく知っているので、たくさん訪れてくれる」と話した。

 大会も終盤に差し掛かった。「最初はどうなるかと不安だったが、悩んでいる選手らの役に立たせてもらっていると思うと『ありがたいことをさせてもらっているな』とつくづく感じる」と話す吉川住職。「笠戸丸には本門佛立宗の(茨木)日水上人が、移住後の日本人移民のため乗船していた。上人には遠く及ばないが、同じように人の心のケアができることはすごく嬉しい。金メダルは一つだが、全員が金メダルを獲れるように願って1日3回お勤めをさせていただいています」と笑顔を見せた。

 選手村は24日に閉鎖になるが、吉川住職は「選手らは勝つために部屋を訪れるが、負けた時はもっと心のケアが必要になる」と話し、選手村の閉鎖まで仏教部屋を訪れる選手らの対応をしていく。(つづく)

2016年8月19日付

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