【2014年新春特集】子供に自学自習の大切さを=公文教育研究会

 公文教育研究会(以下公文、角田秋生代表、64)は、日本を代表する教育企業の一つ。今年生誕100周年を迎えた創始者の故公文公(くもん・とおる)氏の「健全にして有能な人材の育成を通じて地球社会に貢献する」という教育理念の通り、現在48の国と地域に教室を持つ。南米ではブラジル、アルゼンチン、チリ、コロンビア、ボリビア、ペルーの6カ国で事業を展開している。とりわけブラジルは、日本、アメリカに次いで3番目に生徒数が多い。(夏目祐介記者)

生誕100周年、創始者の意志継いで

 南米公文教育研究会(以下南米公文、喜多川直也社長、大阪、50)は、今年で創立37年目を迎える。ブラジルでは、約9万人の生徒がいる算数をはじめ、国語(ブラジルではポルトガル語)と英語、日本語の4科目を学ぶことができ、ブラジル全土で約16万9000人の生徒が学んでいる。

 また南米公文は、2012年度に雑誌「エンプレザス&ネゴシオス」が選ぶ、優秀な500社のフランチャイズの「ミクロフランチャイズ部門=少ない投資で大きな利益を上げる部門」でブラジルの最優秀企業として表彰された。

 このように、ブラジルでも評価される公文の教育とは、一体どのようなものなのか。喜多川社長に話を聞いた。

 「実際の公文式の指導を担う各教室の先生(公文では指導者という)が公文の一番の財産といえる。そのため、先生の指導技術向上に向けた研修、サポートに最も投資している」と喜多川社長が語るように、公文において指導者の役割は大きい。

 公文と各教室の指導者はフランチャイズの関係にあり、指導者は個人事業主として公文からノウハウと教材を提供される。現在ブラジルでは約1500の教室とほぼ同数の指導者がおり、平均年齢は50歳未満。女性の指導者が多く、ビジネスではあるが教育を通して社会貢献するマインド(心)が必要な事業だという。

 また他の学習塾などと異なるのは、公文の指導者に求められる能力は必ずしも、勉強を分かりやすく教えることではないことだ。最も重要な仕事は、生徒が問題を自力で乗り越えていけるように適切なヒントを与えるなどサポートし、自学自習で教材を解き進めさせることだという。

 授業は週2回。残りの4~5日は自宅で宿題をこなすのだから、自学自習は公文の教育の根本だ。しかし自学自習は子供のみならず、大人にとっても長期間し続けるのは難しいもの。なぜ生徒は継続して学習できるのか。

 その答えはもう一つの公文の強みである教材にある。公文の教材は幼児レベルから大学レベルまで対応しているが、初級・中級・上級などのように大雑把にレベルが分かれているのではなく、スモールステップで細かく難易度が上がっていくよう緻密(ちみつ)に設計されている。
そのため、どんな学年の生徒が入会しても、生徒一人一人の習熟度に合わせたちょうど良い難度の問題を提供でき、どの生徒も少し頑張れば100点を取れて、達成感を味わうことができる。

 喜多川社長は「学校の授業に集中できず勉強嫌いになる生徒もいるが、そうした生徒の多くは授業が分からず、追い付いていけない状態であることが多い。公文は生徒一人一人の学力に合わせて解ける問題を与えるので、分からずに解けないままになることはない。そして、問題が自力で解ければ面白いから生徒はより難易度の高い、習っていない問題でさえも次々と学習を続ける。本来、子供はできることは得意になり、好きになるもの」と説明した。

 ただし公文はただ勉強ができる子供を育てたいのではない。喜多川社長は「自学自習が習慣付いている子供は、大人になって社会に出た後も、目の前の課題を自ら挑戦的に解決できる。そういった『生きる力』も養い、そしてその生きる力はどの国のどの分野でも必要な大切な力となる」と語る。

 喜多川社長は5年間、ブラジルに滞在している。その間、教育の現場で感じた日伯の違いは何かあるのだろうか。同氏は「日本では夏・冬休みの入会が多いが、ブラジルでは長期の休みは遊ぶべきで勉強させるのは可哀そうという考えを持っている親が多いため、入会者が減り退会が増えるという正反対の傾向がある」と話した。

 またブラジルの日本語教育については積極的に展開しているものの、「実は南米公文の科目の中で最も生徒数の成長が厳しいのが日本語」と話す。その理由として「日系人の日本語離れが進み、出稼ぎなど日本語を必要とするニーズも減った」ことを挙げ、「ニーズさえあれば、日本語を上達させる学習ノウハウはある」と話した。加えて、「言語と文化、貿易などの産業は密接な関係にあり、これだけ親日で発展性のあるブラジルにおいて日本語が広まらないのは、双方の国の交流や発展においてもったいない」と語った。

 今後の抱負について喜多川社長は、「創始者の公文公氏の理念にあるように、教育は国に大きく貢献し、国の未来を支える。我々もこの公文式の教育を通してブラジルに貢献していきたい。ブラジルで人材が育ち、ますます素晴らしい国になっていくのを楽しみにしている」と意気込みを示した。

2014年1月1日付

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