小売の回復 もう2年先に トラック・ストが足引っ張る

 近年の経済危機による激しい消費縮小で深刻な傷を負ったブラジルの小売業界はゆっくりとしたペースで回復の道を歩んでいた。しかし、2018年5月終盤に起こったトラック運転手らの職務放棄が、治りかけていたその傷口のかさぶたを剥がして塩を塗った。この職務放棄騒動に起因する全国的な物流の混乱が食料品や燃料をはじめとする物価の高騰を招き、その結果、徐々に消費再開に向かっていた消費者らは後ずさりした。そして小売業界は今年下半期(7~12月)、難しい「試練」の時を迎えている。

 19日付伯メディアによると、このような状況を踏まえて、全国商業連合(CNC)経済部門の責任者を務めるエコノミスト、ファビオ・ベンテス氏は、小売業界の業績が経済危機前のレベルにまで立ち直るにはさらなる時間が必要であり、その回復は年内には起こらないとの見方を示している。

 ベンテス氏によれば、小売業界全体の18年の成長予想(前年比プラス4.3%)が達成されたとしても、それによって得られる結果は「景気後退によって被った損失の半分にも満たない」程度の回復にすぎず、「20年の下半期か21年の初めでなければ小売業界が危機前のレベルに戻ることはない」。

 ブラジル地理統計院(IBGE)の月次商業調査(PMC)によって今年7月の小売りのボリュームが前の月を0.4%下回ったことが証明された後、小売業界にとって好ましくない不確実性に満ちたシナリオが今年下半期を通して待ち受けていることが明らかになった。CNCはこれを受けて、18年下半期の成長予想を前年比3.0%プラスから同2.8%プラスへ下方修正した。この修正は選挙に絡む不確実性だけでなく、今年5月のトラック運転手らの職務放棄の結果として生まれた新たな局面をも見据えている。

 ベンテス氏は「3月と4月には広範囲小売(自動車と建材を含む小売)は8%以上伸びていた。つまり、小売業界は待望の復活を遂げたかのようだった。しかし(トラック運転手らの)停止の後、その動きに変化があった。5月、6月、そして7月は、成長という点において17年4月以降で最悪の月だった」と話す。

 その変化をもたらした要因の中には、トラック運転手らのストが招いた物流危機並びに電力料金や燃料価格などの統制価格で際立ったインフレの加速の後に起こった急激なレアル安が含まれている。「ストの前には、広範囲消費者物価指数(IPCA、政府の公式インフレ指標)は3%を下回っていた。今、それは4.2%だ。そして統制価格のインフレ率は4%辺りだったが、今日、それは9%を超えている」と指摘する。

 このインフレ傾向の一例として同氏は、ガソリンや電力、健康保険、調理用ガス(プロパンガス)などの統制価格を挙げ、「これらは直近12カ月間の物価上昇の半分を担っている」と説明。そして「これらの価格の引き上げは消費者の懐に非常に重くのしかかって商業への支出を犠牲にさせ、そして小売部門のコストを増大させている」と指摘する。

 ベンテス氏はさらに、トラック運転手らの職務放棄に起因する大混乱を治めるために連邦政府が作った道路貨物運送の標準運賃もまた、コストを増大させて小売業界を圧迫することになるとし、「通常の状況では最終価格への上乗せが行われるが、今それは無理だ。なぜなら需要が極めて弱々しい上に、消費者はそれに耐えられる状態ではないからだ」と主張する。CNCの推計では、政府が標準運賃を設定したことで小売業界が今年負担するコストは約10億レアル(約300億円)に上る。

2018年9月22日付

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