【移民107周年】平野植民地入植100周年 運平氏の思いを引き継いで

平野植民地入植100周年
平野農村文化体育協会の会員の皆さん

 ブラジル日本移民の原点となっている第1回笠戸丸移民の「通訳五人男」の一人で、グァタパラ耕地の副支配人だった故・平野運平氏が中心となって開いた平野植民地。1915年8月3日、平野氏がグァタパラ耕地などからの邦人入植者を引き連れて、ノロエステ線のトレス・バラスに到着してから今年で100周年の節目の年を迎える。同氏の思いを引き継いで活動している平野農村文化体育協会(森部久会長)は、100周年を記念して約25万レアルの経費をかけて会館を増築し、8月2日に同地で記念式典を開催する。同植民地の歴史を振り返るとともに現状を紹介する。(松本浩治記者)

 サンパウロ(聖)市から北西に約420キロの距離にある聖州カフェランジア市。そこから、さらに約15キロ入ったトレス・バラスと呼ばれる地区に平野植民地はある。

 「平野廿五(25)周年史」によると同植民地は、グァタパラ耕地で副支配人だった平野氏が「邦人が将来ブラジルに於いて発展するには、植民にしかず」との理想によりノロエステ地方に出向き、約60日を費やして土地を物色した結果、同地を見出したとされている。

 「コロノ生活は半奴隷的生活で、日本移民の恥辱」として、当時の故・松村貞雄総領事の協力を得て、ブラジル人地主と交渉。約1620アルケールの土地を購入し、グァタパラやその他の耕地で働いていた邦人に植民地としての将来性を説いた。その結果、15年8月3日の入植以来、同年12月までに82家族が入植した。同地は南から北に18のロッチアメントに分割され、入植者がそれぞれに小屋を建て、入植当初は米作をしていたという。

 しかし、翌16年には、入植地を東西に流れるドゥラードス川から発生したとされるマラリアの被害により、80人もの犠牲者を出した。当時は墓石を建てることもできず、遺族たちは川から石を拾ってきては積み重ねたそうだ。また、収穫時期を迎えた作物が蝗(イナゴ)の大群に襲われて全滅するなど、苦労の連続だった。

 開拓の夢を描いていた平野氏は思いもよらない事態に悩みながら、自身もスペイン風邪が原因で19年2月6日、34歳の若さでこの世を去っている。

 平野農事文化体育協会会長の森部久さん(77、2世)たち関係者の説明では、現在、第1平野移住地の家族数は12家族20人だという。40~50年代にはカフェ景気などで300家族がいたというから、100年の時の流れの中で日系人口の減少の激しさは否めない。

 戦前からカフェ生産で栄えた同地だが、カフェの生産過剰などにより、その後は雑作に切り替えている。カフェの好景気とともに50年代から始めた養鶏経営も80年代後半から悪化。同時期に周辺地域に在住するブラジル人経営者が平野文体協付近にアルコール工場を建設したことが、ブラジル人生産者などに土地を貸し出してカンナ(サトウキビ)栽培を任せるきっかけとなった。また、約20前からは牧畜経営や果樹生産も行われ、現在の植民地は主にカンナ畑と牧草地帯が広がっている。

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25万レアルの経費で会館を増築

 森部会長の娘で100周年実行委員長の池田森部清美セシリアさん(49、3世)たち会員によると、「今年の100周年を記念して何か残したい」との願望により、65年の入植50周年の時に完成した会館を増築することを決定。屋根の修理や壁の塗り替えなどを含めて約25万レアルの経費をかけて昨年11月から着工し、会館入口からグラウンド側に向かって幅15メートル分約300平米を新会館として増やしたという。今月28日には毎年恒例の移民祭と新会館落成式を同時開催する。

 平野文体協の年中行事は1月の新年会をはじめ、2月の平野祭、4月の花祭り、5月の「母の日」の祝い、6月の移民祭、8月の「父の日」会、12月の忘年会などが現在でも実施されている。同植民地には、平野文体協がある平野第1植民地をはじめ、タンガラ第1、タンガラ第2と、カフェランジア市内にそれぞれ日系人たちが住んでいる。普段は各地で小規模に活動しているが、平野文体協内にある「西本願寺・光明寺」に関わる行事には、植民地内及びカフェランジア市在住の日系人が協働して参加することが多い。そのため、従来の会館だけでは手狭の状態だったとし、今年の100周年を機会に念願を果たした形だ。

 当日の式典では「光明寺」での先亡者追悼法要の後、会館に移動して記念式典が行われる予定。式典には約500人の出席を見込んでおり、歴代会長など功労者4人と80歳以上の高齢者7人の表彰も行われる。また、平野植民地の歴史や概要などを書いたパンフレット1000部を作成し、当日の参加者などに配布する考えだ。

 森部会長は「会員が少ないので何もできないが、式典にはサンパウロなどからも来ていただきたい」と話している。式典など詳細に関する問い合わせは、同協会(電話14・99603・9746)か清美さん(ceci.moribe@hotmail.com)まで。

2015年6月20日付[/toggle]

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