慶祝 ブラジル独立195年記念日 「21世紀の大国」、先進国までもう一息

「21世紀の大国」、先進国までもう一息
テメル大統領が列席した記念式典(Foto: Antônio Cruz/ Agência Brasil)
「21世紀の大国」、先進国までもう一息
式典の様子(Foto: Valter Campanato/ Agência Brasil)

 9月7日、ブラジルは独立195周年を迎えた。ポルトガルの王子ドン・ペドロがサンパウロのイピランガの丘で「独立か死か!」と叫び、独立宣言をして以来、紆余曲折はあったものの着実に発展を遂げてきた。1970年代には米国の未来学者ハーマン・カーンが「21世紀は日本とブラジルの時代」と予言した通り、先進国の仲間入りするのは時間の問題となった。ここ数年の経済不況で足踏みをしているものの、その潜在能力の高さは誰もが認めるところである。この機会にブラジルの現状を紹介してみよう。

人口は世界5位 稀な混血化進む

 まず、基礎情報として表―1をご覧いただきたい。ブラジルは世界第5位の人口を誇っている。約2億700万人の人口を抱えており、今後20年以上、人口は増え続けるという。2040年には2億2000万人に達し、以後緩やかに減少するという予測がされている。若い世代が増え続ける理想的な人口構成となっており、国内の消費市場は有望だ。

 人口を構成する人種・民族をみると、欧州系約48%、アフリカ系約8%、東洋系約0・6%、混血約43%、先住民約0・4%(いずれもブラジル地理統計院2011年の調査)。世界中からの移住した移民が混血して出来上がった国であることがわかる。混血が進んでいるため、人種差別が少なく、それぞれの民族がブラジルという新しい国づくりに参画していこうとしてきた歴史が、今後大きく花開くだろう。

景気減速が足かせ 数字は先進国並み

 続いて、表―2を見てほしい。経済成長率がここ数年マイナスになり、物価上昇率も高騰し、景気の減速で失業率も高止まりしている。00年以降、好景気に支えられ、就労者の51%がCクラスと呼ばれる中産階級に伸長した。ところが、景気減速で失業者が増え、中産階級が一番大きな打撃をこうむり、景気を支えてきた内需が大幅に落ち込んでしまった。加えて、輸出先の1位だった中国がやはり景気の減速で鉄鉱石や大豆などの主要産品を買い控えたため、ブラジルの景気が冷え込んでしまった。

 表―3の世界GDPランキングにも景気の落ち込みが反映している。13年に世界7位だったものが、15年に9位に落ち、回復できないでいる。

 しかし、1位から8位までを見ると、2位の中国、7位のインドを除いてすべて先進国だ。ブラジル、中国、インド、はBRICsと呼ばれる新興勢力で二分される。数字だけ見ると、すでに先進国の仲間入りしているようにも思えるのだが、経済の軟弱さや治安の悪さ、政界の汚職など悪い材料を払拭しなければ、安定した地位は築けないだろう。

資源大国の強み

 天然資源といえば、鉄鉱石。オーストラリアと肩を並べる鉄鉱石輸出国として知られ、中国、日本を中心としたアジア地域だけでも輸出の50%に達しているといわれている。中国の景気後退で一時期輸出が伸び悩んだものの今後、より一層増加が見込めるだろう。

 つづいて注目されているのが原油だ。13年には、ブラジルの原油生産量は1日211・4万バーレルでベネズエラの262・3万バーレルに次ぎ、中南米では第2位の生産量を確保している。ブラジルが開発した深海層から発掘する技術で07年以降次々に開発を続けており、ペトロブラスによると20年には生産量を倍増すると強気な目算を立てている。

農業大国の面目躍如 世界の食糧供給基地

 ブラジルは広大な土地を持ち、水資源、気候に恵まれていることから農業に適している土地が多い。

 農産物で代表的なのはコーヒーだろう。全世界の生産量の30%を生産しているといわれ、生産量は世界一を誇っている。かつては、ブラジルの輸出の筆頭として挙げられたが、そのほかにも生産量が世界一の農産品は、サトウキビ、オレンジ、そして大豆がある。大豆は、長い間米国がトップだったが、2013年に米国と肩を並べ、世界一の生産国となった。

 その他には、マンゴー、メロン、ブドウなどの果物類も海外に輸出されており、農作物の供給地として大きな役割を果たしている。

 といっても、GDPの中で占める農林水産業の構成比率はわずか6%にしか過ぎない(2013年)。鉱工業が25%、サービス業69%と他の産業の占める割合が大きくなっている。

製造業では自動車、航空機産業が突出

 その代表的なものが自動車産業だ。1970年代までフォルクス・ワーゲンが市場を独占していたが、以後世界中のメーカーがブラジルに進出し、13年には年間自動車販売台数が350万台を突破し、世界4位の市場にまで成長した。現時点では景気減速の影響を受けて販売台数は低迷を続けているが、業界によれば20年には年間販売台数が460万台程度になると予測している。

 また、主要輸出品として近年急速な成長を遂げているのが、航空機産業である。サンパウロ州サンジョゼ・ドス・カンポス市に工場を持つエンブラエルだ。世界の旅客機メーカーとしてランクされているのは1位がヨーロッパのエアバス社、2位は米国のボーイング社、そして3位がエンブラエルとベスト3に位置している。エンブラエルは小型飛行機生産に特化しており、この分野では1位となる。12年まではカナダのボンバルディア社が3位だったのだが、13年に追い抜き、以後その地位を守っている。

 同社の飛行機は、日本航空も使っており、今後、ますます需要は伸びていくものと思われる。

今後の課題は政治と教育

 こうしてみてくると、ブラジルはもはや中進国ではなく、先進国と言ってもいいほどの力を持っているといえる。しかし、ブラジルの有識者は、「政治と教育が良くならなければ、一等国にはなれない」と口を揃える。

 昨年来、世間を騒がせているラバジャット。大統領から国会議員の多くが関与しているこの汚職事件で、どこまで政界浄化できるのか。政治が良くならなければ、ブラジルが立ち直れない。国民の我慢も限界だといえる。

 また、教育への投資も重要だ。1970年代初頭から比べると識字率は確かに向上したが、教育の質という点では、一向に改善されていない。子どもたちが満足な教育を受けることができるようになれば、社会は変わる。教育には資金と時間がかかる。

 「21世紀の大国」といわれるブラジルが、大きく羽ばたくにはもう少し時間が必要なのかもしれない。

2017年9月9日付

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