政府方針に逆行するJR ジャパンレールパスの移住者排除 ㊦

 海外在住の日本人移住者に対してJRがジャパンレールパスを使用できないようにするという措置は、移住者をないがしろにし、日本への思いを無視するものだ。日本政府は海外への移住者に支援をしてこなかった。それでも、かつてブラジルから日本への移住者のお里帰りが盛んだった1970年代、日本の空港の税関吏の対応は素晴らしかった。数十年ぶりに帰国した移住者は山ほどの土産を持参していたが荷物を調べることなく「ご苦労様でした。日本を楽しんでください」と深々とお辞儀をし、敬意を表してくれた。この対応に移住者たちは涙を流さんばかりに感動したものだ。今でも、たまに同じような対応をしてくれる税関吏がいる。ちょっとした心遣いにどれだけ、心が安らぐか▼近年、移住者は訪日時に子どもや孫たちを引き連れ、観光のために訪れる。自らの祖国の素晴らしさを教え、子孫が日本との交流を望むからだ。この波及効果は、ブラジル社会にも伝播する。しかし、子どもや孫たちがジャパンレールパスを使えるのに引率している1世だけが使用できなければ、訪日そのものが成り立たなくなってしまう。こうした、現地事情を全く理解していない人たちが、利益だけを優先し、数が少ないという理由だけで排除してしまうのは許せない▼JRはブラジルのようにイデンチダーデ(IDカード)で移住者と判別できれば問題ないが、国によっては判別しづらいため、窓口業務が煩雑になることを使用中止にする理由として挙げた。こうした面倒な作業を除外しようというのである。それなら、各国の在外公館(大使館、総領事館など)が在留届証明書の中で移住者であることを明記すればいいだけの話ではないか。総領事館は業務が煩雑になると背を向けるかもしれない。しかし、在留邦人の保護は大きな仕事のはずだ。移住者の権利、利益を守る義務がある。海外に居住する日本人は、望むと望まぬにかかわらず、「日の丸」を背負って生活している。そして、祖国日本が素晴らしい国であることを周囲の人たちに喧伝する。そのためには、ジャパンレールパスの利用価値は、一般の外国人旅行者の何倍も効果がある。JRが襟を正さないのであれば行政指導という形で政府が介入すべきだろう。(鈴)

2016年12月3日付

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