故郷 茂木節子

故郷 茂木節子
茂木節子さん

紫におう津軽富士
明けゆく空を飛ぶはとよ
ああ、はつらつと建設の
希望に燃ゆる眉あげて
我が弘前市仰ごうよ

 津軽平野の東に八甲田山が横たわり、西に岩木山(津軽富士)が美しい姿で聳え立っている。山の雪解けと共にいっせいに木々が芽を吹き、山桜やこぶしの花が咲く、うぐいすのさえずる声が美しい。

 弘前市は弘前城の桜で有名ですが、古い城下町で重要文化財も多くあり、市指定と国指定とあります。母方の祖父の本家対馬家の書院庭園『瑞楽園』が国指定の名勝となっています。私たちがブラジルに来てから1979年5月に国指定されたので母など驚いていました。小さい頃、その庭園を走り回って怒られたものでした。

 この『瑞楽園』昭和23年から15年余りかけ、高橋亭山が築庭し、亭山門弟の池田亭月が弟子外崎亭陽と昭和3年から11年にかけて増庭した大石武学流枯山庭園の代表的なもの。津軽藩政時代豪農だった対馬家の書院庭園として造られ住宅も天保10年(1839)に築られた。その命名も明治末年、対馬氏によると伝えられています。現在は弘前市の所有である。邸宅の南側に広々と展開する美しい枯山水庭です。訪日するたびにここを訪れ走り回って怒られていた子供時代を懐かしく思い出します。今は広く市民に公開され、利用され観光客も年々増えつづけているようです。

 因みに1986年のNHK大河ドラマ・三田佳子出演の『いのち』の舞台にもなったところです。

 桜が咲き、りんごの花が咲く頃は心もうきうき楽しい季節です。

 リンゴ畑のあちこちから唄声と共に剪定ハサミの音がパチパチと心良く聞こえてくる。

 その中を自転車で颯爽と通学したものでした。

 夏休みは岩木山の高原はピクニック客でにぎわい、海が遠い津軽人にはとても楽しい一つ楽しみなのです。

 暑い夏は瞬く間に過ぎ、秋風が吹く頃には待っていた実の秋です。稲穂も金色に頭を下げ、真赤に色づいたりんごも収穫を待っている。人々の喜々とした笑顔がほろこびます。山には山菜とりに入る人も沢山いて紅葉の中、背負いきれないほど採る人もいます。

 夕日が岩木山の頂上に沈む頃、赤とんぼ群が夕焼けに染まりながら、どこかへ消えてゆく光景は今でも忘れられない。

 11月に入ると北国は厳しい寒さがやってくる。岩木山も雪化粧が始まると若者たちは出稼ぎに行く。翌年の春ごろに帰ってくるのだが、家に残った者たちは、保存食をつくったり山ほどある仕事を手際よくこなしてゆく。

 冬は忙しいだけではなく、温泉へ湯治に入ったり、デパートなどでゆっくり楽しむ待ちに待った時なのです。

 懐かしい故郷を思う心は誰も同じ、ブラジルの生活が長くなった今日、良い事ばかりが思い出されるのです。

2018年11月28日付

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