日本語センターの日下野理事長 日系社会へ日本語消滅危機を警鐘

日本語センターの日下野理事長 日系社会へ日本語消滅危機を警鐘
ブラジル日本語センターの日下野理事長

 【既報関連】ブラジル日本語センターの日下野良武理事長(74、熊本)は、5月16日に日伯国会議員連盟でブラジルにおける日本語教育に関する特別講演会を行った背景に関し、本紙の取材に応じた。

 日下野理事長は学生時代に中南米研究会に所属し、伯国へ初めて渡った。その後、27歳で本紙の東京支社長となり、以来36年間伯国でジャーナリストを続け、同センターの副理事を務めるなど伯国日系社会に関わり続けている。

 今回あえて日本で問題提起をした理由は、同センターに長年在籍している中で「日本語学習生徒が増えない」という危機感があるからだと話す。

 現在、伯国で日本語の学習者は約2万人、日本語教師は約1100人、日本語学校は約450校。その中で日系人の日本語学習者は60%、また学習したとしても成人後に使えないという問題が起きている。

 日下野理事長は「経済的な問題もある。今は英語の方が大事。日本語の優先順位は低い。また、(ポ語の家庭で育っているため)3世以降は日常生活で日本語に触れることがない」とし、「親が日本語学校に入れて学習しても、結局身につかない。さらに高校生で日本語から離れてそのままの人も多い」という。

 さらに、日本語教師も3世、4世の時代になり、日本文化に触れずに育った日本語教師が大半だ。「『日本語による日本語教育』は、もはや難しい。ポルトガル語による日本語教育は急務だ」と日下野理事長は持論を述べる。

 日本語教育が停滞していた事態を受けて、日下野理事長は日伯国会議員連盟の河村建夫幹事長から「何か力になれないか」と聞かれた際に今回の講演内容について話し、日本政府に特別講演する場を設けてもらったという。

 同講演会は衆院第二議員会館で行われ、外務省、文化庁国語課、厚生労働省、国土交通省、JICAから39人が参加。日伯国会議員連盟事務局長の山口泰明、海外子女教育推進議員連盟の田野瀬太道事務局長が司会を務めた。

 「反応は非常に良かった」と日下野理事長は話し、「日本語センターとしても初の試みだったが、具体的にいくら援助額が必要かまで質問が出た。今後また会議を行う場を設ける話も出ている」と今回の成果を語る。

 また、日下野理事長はジャパン・ハウスの開館式でテメル大統領が「謙虚で寛容な日本文化が伯国の発展に貢献している」と述べたことで、日本文化再生が必要だと感じたと話す。そのためには、日系団体との関係強化についても言及。「私たちは『連携共同体』だと捉えています。伯国のために皆で協力していきましょう」と呼びかけている。

2018年6月27日付

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