日系社会の遺産調査㊺ アグア・リンパ植民地に残る 安瀬商会「コーヒー精選・精製工場跡」

日系社会の遺産調査㊺ アグア・リンパ植民地に残る 安瀬商会「コーヒー精選・精製工場跡」
コーヒー精製所(2018年9月24日撮影)
日系社会の遺産調査㊺ アグア・リンパ植民地に残る 安瀬商会「コーヒー精選・精製工場跡」
農園と精製所を繋いでいた陸橋(2018年9月24日撮影)

 サンパウロ州アラサツーバ市から16km離れたノロエステ地方アラサツーバ管内日系社会の最古となるアグア・リンパ植民地(旧ビリグイ植民地)には、開拓当初のコーヒー産業を牽引した実業家・安瀬盛次(あんぜ・もりじ)氏の邸宅跡、コーヒー精選・精製工場が当時のまま残されている。

 安瀬氏は1915年に、同地でコーヒー農園を購入し、その生産を支える精製所を建立したとされる。その後、アラサツーバ市内に「安瀬商会」を立ち上げ、精選、精製工場を経営し同地のコーヒー生産を牽引した。安瀬氏は57年に南米銀行副頭取に就任し、同地を出ている。

 利用されていた当時、工場からコーヒー農園までは、陸橋でつながっており、収獲した豆を干す工程から精製、出荷へと一連の工程を想定した造りになっている。工場の隣には、輸送用トラックの積み荷場や、農業者が生活用品を付けで購入できる商店など、精製所の敷地内が初期移民の生活の拠点となっていた。建物裏側には、単身移住者の寮や、馬小屋なども設けられていたという。

日系社会の遺産調査㊺ アグア・リンパ植民地に残る 安瀬商会「コーヒー精選・精製工場跡」
旧安瀬邸(2018年9月24日撮影)

 安瀬氏の邸宅は、精製所の向かいに当時のまま残されており、現在居住者はいない。同地で生まれ育った山田英一さん(84、3世)によると、安瀬氏が居住していた頃は、年始に人を招いて宴会が行われるなど、同地居住者が招かれることもあったという。

 現在、同地は日系3家族のみとなり、コーヒー生産は行われていないが、当時のままの精製機などは現在も使用可能だそうだ。(つづく)

2018年12月4日付

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