東京だより 国籍と忠誠心

 民進党の蓮舫代表の二重国籍問題が表面化後、海外に住む日本人、日系人の二重国籍問題で議論が起きると思われたが、拍子抜けするほどに尻すぼみに終わりつつある。海外日系人大会に出席した重国籍に関心がある人たちがこの問題をアピールしようと日本記者クラブで会見もしたが、記者たちの興味をかきたてるまでに到らなかった。多くの日本人にとって身近な問題ではないし、関心もないのだろう▼しかし、重国籍問題は民族と国籍という重大な問題を含んでいる。要するに日本人の両親から生まれた子供は国籍がどこであろうと日本人であり、日本人の母と仮にブラジル人の父から生まれた子供は日本人であり、ブラジル人でもある。ライオンの子供は上野の動物園にいようと、アフリカの草原で暮らしていようと、ライオンに変わりはないのと同じである▼では国籍とはなんなのか。今どこで生活しているのか、あるいは本人のルーツを示すものである。今の日本の国籍法では、日本人であっても外国の国籍を取得すると日本国籍を捨てなくてはならない。海外に住む日系人、日本人には「日本人であることを否定される」のと同じことなのだ。在住国によっては、国籍がないと不利益を被ることが少なくない。そのために苦渋の選択をして日本国籍を捨てているのである。記者会見をした日系人、日本人は「二重国籍者がいることで、日本にどんな不利益があるのか。実際には厳密な運用がされているわけでもなく、世界の趨勢に合わせ重国籍を容認してほしい」と訴えた▼席上、記者からこんな質問が出た。「二重国籍者のロイヤルティはどうなりますか」。会見に出ていた大阪経済法科大学の武田里子客員研究員は「ロイヤルティは王様に忠誠を示すというもので、今の時代にはそぐわない。国籍はその国の構成員ということを示すに過ぎない」と答えた。その記者は「在住国に対する忠誠心」を問題にしたのだろうが、人は自分の幸福追求に最善と思い、その国に住んでいる。当然、その国の構成員として法律を遵守し生活する。その国に国籍があろうとなかろうと、住んでいる以上はそうするのが普通である。国籍と忠誠心は別の話だろう。(東京支社=竹内政司)

2016年11月5日付

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