東京便り ジャパンハウスと日墨学院

 ブラジルから海外日系人大会に出席した人が、記者に話しかけてきた。「サンパウロにジャパンハウスというのを作っているけど、あれは効果があるの。30億円近くかけて日本文化の発信基地にするとか言うけど、容器だけで中身が伴わないんじゃ、意味の無いものになりかねないね」という。その人はそれだけの金をかけるなら、もっと意味のあるものが出来るだろう、というのだ▼メキシコに日墨学院というのがある。日系社会、進出企業が協力して220万ドルを調達、それに日本からの補助金100万ドルを合わせ校舎を建設、1977年に開校した。学院は日本政府から正式に認可された日本コース(小学校、中学校)、メキシコ政府から認可されたメキシココース(幼稚部から高校まで)がある珍しい学校である▼メキシコには日系だけで無く、ドイツ系、イギリス系、ユダヤ系、フランス系などの学校もあるが、日墨学院の評価は高く、私立学校ではメキシコシティで総合ランク1位に選ばれたりしている。この高評価のためか、メキシコの有力政治家の子弟も数多く学び、社会に巣立っているという。メキシコから出席した人が「メキシコの学校では知識を教えるだけだが、日墨学院では掃除するとか、礼儀など日本的な価値観を元に教育している。これが認められたのだろう」と、日本の伝統習慣が大いに威力を発揮していると話していた▼「同じ政府資金を使うなら、こういった使い方が効果的ではないか」と、ブラジルからの参加者はいうのである。メキシコでは設立費の300万ドルの工面に苦労したらしい。不足分の100万ドルを支援してくれたのが、当時の田中角栄首相だったという。日本では田中首相が再評価されているが、こういった所にも同氏の先見力がうかがえる。(東京支社=瀬頭明男)

2016年10月28日付

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