東京便り 日本人の呆れた国際感覚

 民進党の新代表に蓮舫議員が選出されてから日本では、にわかに二重国籍問題が注目され始めた。蓮舫代表が中国(台湾)と日本の二重国籍者だったからだ。蓮舫代表は選ばれてから中国籍を放棄、日本国籍だけにした。外交問題などを審議する国会議員という立場にあったとしても、日本ではどうして二重国籍者を悪(あ)し様(ざま)に批判するのだろうか。世界の経済大国を標榜し、各国で日本企業、日本人が活躍する時代に、日本人の国際感覚は一歩も二歩も後れを取っているような気がしてならない▼世界の動きは、重国籍を認める方向にある。毎日新聞によれば、二重国籍は欧米、南米では容認する流れにあるという。同紙上で国籍法に詳しい近藤敦教授(名城大学)は「国によっては国籍の有無を正確に確認する方法はない。従って国籍は一つでなければならないという原則は、日本では形骸化している」と指摘している。世界の動きは重国籍容認の流れにあり、海外では二重国籍者の政治家も珍しくないという▼海外に住む日本人、日系人も、日本の閉鎖的な国籍法に困っている例が少なくない。在住国の国籍を必要に迫られて取ったが、日本人である以上日本国籍は失いたくない、という人が大半である。そうした人たちの要望を元に第51回海外日系人大会で「重国籍の容認を求める」要望書が決議された。ノーベル物理学賞受賞者の南部陽一郎氏がアメリカ国籍取得に伴い日本国籍を喪失したことなどもあり、当時は民主党(現民進党)や自民党の一部に、重国籍容認の法改正の動きも見られた。その動きも今では停滞したままだ▼それどころか野党の一部から去る9月、「重国籍者の国政選挙出馬禁止法案」さえ提出された。時流に棹さす法案で、海外に住む日系人、日本人の要望を無視した、時代錯誤な法案と言えよう。日本人の国際感覚が世界先進国の水準にまで到達するには、まだまだ時間がかかりそうだ。重国籍者が在住国に害悪をもたらすものかどうか、日本の政治家にブラジルを視察することをお奨めしたい。(東京支社=瀬頭明男)

2016年10月5日付

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