東京便り 大学入試の改革が急務

 いま日本で話題になっているのが、大学入試でのカンニングである。携帯電話を使って入試問題を掲示板に投稿、回答を求めたというものだ。大学当局が調査を警察に委ねたことで表沙汰になり、各メディアは犯人捜しに血道を上げた。日本の警察は優秀と見え、直ぐに掲示板に投稿した19歳の予備校生を探り当てた▼この騒動の発端となった京都大学の態度に、脳科学者の茂木健一郎氏がツイッターでつぶやき、異議を唱えている。茂木氏は、いまだ19歳に過ぎない受験生をよってたかって虐め、どうするのか。大学は警察に委ねず独自に調査し、その人間を突き止めたら不合格にすればいいだけの話、と指摘するのである。そして、19歳の受験生に必要なのは制裁ではなく、カウンセリングだ、というのだ▼受験生がカンニングした行為は恥ずべきもので、許されるべきではない。しかし、大学のブランド指向の風潮を煽り、いまだ心身ともに発達途上にある子供たちを、受験地獄に突き落とす社会が、健全と言えるのだろうか。青春のある時期に、必死になって勉強に取り組むことは悪いことではない、という意見もあろう。ただこの場合、受験勉強が子供を成長させるという条件が必要だろう▼現在の記憶力最優先のペーパーテストに備える受験勉強が、寝食を忘れて取り組む価値があるとはとても思えない▼こんな事件が起きた今、大学入試のあり方を検討するのに良い機会ではないだろうか。アメリカの大学は、入学は簡単で、その代わり卒業が大変だと言われる。日本も、希望者はドンドン受け入れ、大学らしい教育をし、それで満足のいく実力が付かなければ卒業させなければいいだけの話である▼それだと東京大学は人が溢れる、という心配もある。しかし、こうした入試改革が実施されれば、東大ブランドも消滅する。むしろ、大学で何を学び、身につけたかが問われることになる。こうなれば、厳しい入学試験をパスした途端、遊び呆ける学生が目立つ状態も改善されることだろう。大学も、学生たちが師と仰ぎたい優秀な教授を集めることに専念するはずである。(東京支社=瀬頭明男)

2011年3月5日付

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