柔道を通した支援活動 聖市チアゴ・カミーロ財団で

柔道を通した支援活動 聖市チアゴ・カミーロ財団で
乱取り稽古をする子どもたち

日本人留学生の佐々木千鶴さん

柔道を通した支援活動 聖市チアゴ・カミーロ財団で
関係者らと記念撮影する佐々木千鶴さん(3列目中央)

 サンパウロ市内のファベーラで柔道を通した慈善活動を行っている「チアゴ・カミーロ財団」で、サンパウロ大学大学院に留学中で筑波大学修士課程の佐々木千鶴さん(23、岩手)が、2月20日から8月18日まで活動を支援している。同活動は、シドニーオリンピック銀メダリストのカミーロさんが始めたもの。2015年12月13日には「Sports for tomorrow」の一環で、中前隆博前在サンパウロ(聖)総領事が柔道着25着を贈呈した経緯がある。今年6月28日には柔道の稽古後に月末恒例の誕生日会を行い、稽古場は笑顔が満ちあふれた。

 同財団はカミーロさんが12年に設立し、現在はサンパウロ市内のパライゾポリス区、パルケ・ブリストル区など6つの柔道教室が存在する。ファベーラ近郊に住む6歳から17歳までの700人が所属。参加費用は無料で、国や州、スポンサー企業の援助を得て活動を継続している。

 同財団の活動を手伝う佐々木さんは、筑波大学修士課程人間総合科学研究科スポーツ国際開発学共同専攻2年生。「柔道を通じた国際開発学」の研究を行っている。

 佐々木さんは、リオデジャネイロオリンピックで金メダルを獲得したラファエラ・シルバ選手に感銘を受け、柔道を通した「ソーシャルプロジェクト(社会的課題の解決を目的とする活動)」に興味を持ったという。

 シルバ選手は、リオデジャネイロ州のファベーラ出身。7歳の頃に犯罪に巻き込まれないようにと思った父親が柔道を習わせ、「人生を変える」ことを体現した。「柔道ってこんな力があるんだ」と影響を受けた佐々木さんは、縁があり同財団の活動に参加することになった。

 活動の場の一つであるパルケ・ブリストル区には、160人が通っている。職員はコーディネーター、心理カウンセラー、2人の指導者で構成。月曜日から木曜日の午前8時から午後5時まで教室で行われている。

 稽古では、柔道の礼儀や作法も教える。試合前には必ず礼をし、乱取りの稽古では、「よろしくお願いします」「ありがとうございました」など日本語が飛び交う。

 月末の稽古後は、恒例の誕生日会が行われる。「家庭で祝ってもらえない子もいるので、ここで誕生日会を行うそうです」と佐々木さんは話し、「でも、母親が食べ物を持って来る家も多いんです」と声を弾ませた。

 コーディネーターのフィリペ・コスタさん(32)は「ファベーラで育つ人は、ここ以外を知る機会が少ない」とし、「柔道をやることで、子ども達の視野を広げるんです」と強調した。

 また、ファベーラには家族関係が複雑な家も多い。「家族は片親、祖父母だけという家はたくさんある。子どもは愛情に飢えています」とフィリペさんは説明する。

 日系ブラジル人のリエ・ラケル・タンジさん(12、3世)は、母親のダニエラ・タンジさん(38)の勧めで柔道を始めた。内気で成績も良くなかったリエさんが、柔道を始めたら変わるかもしれないと思ったという。「今は本当に柔道をやって良かったと思っています。柔道を通して礼儀も学び、家でも手伝うようになりました」とダニエラさんは喜ぶ。リエさんも「柔道をずっと続けたい」と笑顔で話した。

 佐々木さんは「柔道は日本から始まりましたが、海外から学ぶこともたくさんあります。柔道を通して社会を変える方法を、仲間とも話しているところです」と今後の展望も語った。

2018年7月20日

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