海外在住邦人を切り捨て ジャパンレールパス利用資格変更

JR、来年4月からの実施を発表

 【東京支社=瀬頭明男】JRグループが来年4月から「ジャパン・レール・パス」の利用資格を変更し、居住国に永住権を持っている日本国籍者や外国人と結婚し海外に居住する日本国籍者から利用資格を剥奪すると発表した。これがそのまま実行されれば、ブラジルの永住権を持っているものの、国籍が日本にある移住者は同4月から同パスを利用できなくなる。移住者の間から、一斉に不満の声が上がり始めた。

 JRグループが同パスの発売を始めたのは1981年から。JR東日本によると、今回の改訂は「発売当初はレール・パスに対する認知度が低く、永住者にも特例措置として利用を認めていた。しかし、年間2000万人を超える外国人が来日するようになり、利用者も増えた。それに利用者からも、これは不公平だという声が聞かれるようになり、もともと外国人観光客向けに発売を始めたものだから、今回特例を廃止することにしたものだ」という。

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 この説明を聞いていると、客が少なかった時は移住者などの海外永住者を利用し、訪日外国人が増えたから移住者は必要なくなった、と移住者切り捨て論にも聞こえる。JRは「あくまでも特例をなくす改訂をしただけで、移住者を差別するような考えはない」と強調するが、結果から言えば差別と言われても仕方がないだろう。

 この改訂についてJRは「永住権については国によって考え方が違うし、永住権がない国もある。その永住権の国ごとの違いを我々では把握できない。どうしても利用者に不公平感が出てくる。それを是正する意味もある」とも述べた。

 色々と説明はするが、日本国籍者を持つ移住者に対する冷たい措置であることに違いはない。外務省も「民間企業のする営業方針に口出しはできない」と言うばかりで、移住者に対する思いやりが感じられない。

 海外日系人協会は「この措置は日系人切り捨てですから、何らかの行動をする必要があると思っている」という。具体的な方法は未定だが、これまでも同パスをめぐる二重国籍者の扱いを改めさせた経緯がある。今後不利益な扱いを受けることになる移住者は声を上げ、JRに翻意を迫る必要がありそうだ。

   ◎   ◎

 こうした発表について、毎回日本を訪問するたびに同パスを利用しているサンパウロ(聖)市在住の日本人男性(58)は、「後出しジャンケンじゃあるまいし、『特例』などとは取ってつけたようなもの。我々をバカにしているのかと言いたい。利用者が少ない時に、今まで普及利用してきた者に感謝の気持ちがあってしかるべきだが、節操がないというか情けなくてがっかりする」と怒りを露わにする。また、同パスが自動改札を通過できず、日本国内の場所によっては使用できないケースがあることも指摘する。

 聖市在住の50代の日本人男性も「数年前は二重国籍者が除外の対象になったが、今度は在外日本国籍者とは。不公平が出るのはパスを発売したころから分かっていたはずで、それなら最初から特例措置など設けず、対象を外国人だけに限定すればよかったのでは。今までさんざんパスを買ってやったのに、観光客が増えたから特例を廃止するとは、結局は客の立場ではなく自分たちの都合でしか物事を考えていないということ」と率直な思いを語る。

 同パスは来年3月8日から18年3月31日までの約1年間、日本国内で試験発売することも決まっている。このことで、ブラジル国内の日系旅行社によっては売上に影響を及ぼすところも出てきそうだ。ある日系旅行社関係者は先週、同業者から情報を受けたと言い、「日本人のお客様でレールパスを買われる方も結構多かったので、今後は売上が下がることになるでしょう」と落胆した様子だった。

2016年11月30日付

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