無駄をなくして効率アップ SC病院がトヨタ生産方式講演会

無駄をなくして効率アップ SC病院がトヨタ生産方式講演会
TPSを説明するスティーブ氏

「人への敬意」と「絶え間ない進歩」

 サンタ・クルス病院(石川レナト理事長)主催の「TPS(トヨタ生産方式)」に関する講演会が、5月25日午後7時からサンパウロ市ビラ・マリアーナ区の同病院施設で行われた。講演には同病院関係者や医療関係者など、約100人が来場した。

無駄をなくして効率アップ SC病院がトヨタ生産方式講演会
石川理事長とスティーブ氏(左から)
 講演を行ったのは、トヨタ自動車ラテンアメリカ及びカリブ地域CEO(最高経営責任者)を務めるスティーブ・セント・アンジェロ氏。アメリカ出身の同氏は、2013年から中南米の経営責任者としてブラジルに勤務。昨年4月から最高経営責任者を務め、これまでに40カ国でTPSの指導を行ってきている。

 TPSとは、トヨタ自動車が工場でライン作業を行う上で産み出したもので、あらやる無駄を徹底的になくし、業務上の時間短縮などを図るシステム。スティーブ氏はTPSの根底には「人々への敬意」と「絶え間ない進歩」という2つの要因があるとし、「私たちは決して満足しない。絶えず改良を加え、TPSという挑戦を続けていかなければならない」と述べた。

 また「自動車産業と医療の現場はまったく違う。しかし、ビジネスとしては同じ。顧客や患者を第一に考え、良質なものを提供し続けることが、結果的に利益をもたらす」と話した。さらに、トラブルが発生した際は「何をしたのか、何が起きたのか」など自問することが重要だとし、その中でも「自分に何ができるのか?」と考えることが最も重要だと述べた。

 他にも名称や数値を見えるように表す「カンバン」、効率性を追求する「ジャストインタイム」などのTPSを紹介。「TPSは、ただ仕事上の工程ではなく、生きる姿勢とも言える。決して満足してはいけない。TPSを用いることで同じ過ちはせず、無駄なく仕事を行うことがゴール」だと話した。

 続いて、同社でTPSグループの課長を務める小島ブルーノさんが、同病院でどのようにTPSを実践したかを説明した。小島さんによると、かつて同病院の救急の現場では患者が診察を受けるまでに150分という時間を要していたという。TPSグループで検証した結果、待合室が一つしかないため、受付や診察のための移動が多く、無駄な時間がかかっていることが判明。そこで各行動のすぐ手前に待合室を作り、また看板を設置することで「見える化」を図り、患者の移動時間と距離の無駄をなくした。結果として30分の時間短縮と移動距離80メートル分の縮小に成功した。

 加えて各職員がどこにいるか明確にする「見える化」の実施、薬の準備時間や用具の設置位置なども改善。職員側の無駄もなくした。現在、同病院では5人の職員がTPS活動を自主的に実施しており、「教えるだけでなく、TPS活動を通して人を育て、伯国企業を成長させることがTPS活動の目標」だと小島さんは結んだ。

 その後、再び登壇したスティーブ氏からは、小児病院や輸血業者など幅広い施設や企業とパートナーシップを組みTPS活動を行っていること、自身の経歴や同社の活動を紹介した。

 最後に「TPSとは人との交流。わがままをやめ、謙虚な姿勢を保つこと。良いチームプレイヤーとなり、寛容になること」と話し、「そして絶対に満足しないこと」が重要だと再度強調した。

 講演を聞いた同病院の職員は「自動車会社のやり方を病院で実践できるのか疑問だったが、30分の待ち時間短縮という結果が出たと知り驚いた。病院が良くなるということは患者に良いということ」と感想を話した。

 石川理事長は「2年前の日本祭りでスティーブ氏と知り合い、TPSを導入したいと話したら、すごく応援してくれた。TPSのお陰で患者のイライラが減ったことが一番の効果。今後は救急以外でも実践していきたい」と話した。

2017年6月1日付

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