熊本地震で被災した外国人 災害時の経験共有計画を立ち上げ

熊本地震で被災した外国人 災害時の経験共有計画を立ち上げ
KEEPのメンバーと(右から2番目がカイザーさん)

ミャンマー留学生のカイザーさんら

熊本地震で被災した外国人 災害時の経験共有計画を立ち上げ
地震後の熊本市内(写真提供=カイザーさん)

 14日、熊本地震発生から1年が経った。最大震度7を2回観測した同地震は、熊本県内だけでなく九州地域に大きな爪跡を残し、現在も復興作業が続いている。熊本市内に住むミャンマーからの留学生で、熊本大学薬学部の博士課程後期に在籍するカイザー・ウィミンさん(31)も自宅アパートで被災した。混乱する状況の中で避難したが、外国人に対応した情報が少なく、災害発生時に在日外国人らは対応することが難しいという現実に直面した。この経験から他の留学生らと災害時の経験を共有するプロジェクト「KEEP(The Kumamoto Earthquake Experience Project)」を立ち上げ、カイザーさんは副会長に就任。ワークショップや意見発表などの事業を行い、同県在住外国人の被災経験から、将来的に天災が起きた際に在住外国人らがどのように行動すれば良いかを学んでいく活動を行っている。

 最初の地震が起きた昨年4月14日、自宅アパートにいたカイザーさんは、近くに住む友人らと避難所へ避難した。避難先には人数制限などがあり、自宅でゆっくり眠りたかったカイザーさんは翌日、自宅へと帰宅。しかし、日本語を話せない友人らから「避難所へ一緒に来てくれ」と請われ、その晩も避難所へ避難した。そして、日付が変わった16日午前1時36分に震度7の大地震が発生。「死ぬかと思った。今思えば避難所へ行って良かった。帰宅したら窓が粉々に割れ、電気は使えない状態。家に残っていたら一人で負傷していたかもしれない」と、その晩の体験を振り返った。

 この経験を通じてカイザーさんが痛感したのは有事の際、外国人に向けた英語での情報が少ないこと。カイザーさんは日本語会話が可能だが、友人ら全員が日本語が話せるわけではなく、同県内に住む外国人も同様だ。最初の地震が起きた際は日本語でしか情報が流れず、日本語が分からない多くの同県在住外国人は余計に混乱し、不安な時を過ごした。また、災害発生時に備えた準備や非難方法などの外国人向けの指導も不足しているという。同時に「在住外国人ら自身の災害への意識も低い」とカイザーさんは指摘した。

 地震から1カ月後の5月、熊本大学の留学生ら5人によって同県内在住外国人の経験を共有、記録し、将来起こりうる天災に向けそこから学び備えようと「KEEPプロジェクト」が立ち上げられた。カイザーさんは「天災を予期したり、防ぐことはできない。過去の経験から学んで、天災が起きた際は被害を少しでも小さくするために備えることが必要だと思う」とプロジェクトの狙いを話す。

 活動の一環として昨年7月には、カイザーさんらのような外国人学生や同県在住外国人、日本人学生約40人が参加したワークショップを開催。地震時のそれぞれの経験を共有した。また、震災時に困ったことや疑問だったことなどに関するアンケートの収集や県内の高校での講演を実施。今年2月には一般財団法人自治体国際化協会(CLAIR)での発表も行い、インターネット上では在住外国人らの経験を記したエッセイ集を公開している。これらの各事業に対しては好意的な反応を得ており、「このプロジェクトが熊本だけでなく、日本在住の外国人たちの天災時の備えや対応の参考になったら嬉しい」とカイザーさんは話した。

 地震発生直後は進めていた研究のサンプルや電化製品などの生活用品が失われてしまい、落ち込んだというカイザーさん。しかし、熊本県はもっと多くのものを失ったということに、すぐに気づいた。「地震後の熊本の街を見るのは辛かった。私がこのプロジェクトに参加した理由の一つは、熊本のために何か自分にできることをしたかったから。私やKEEPのメンバーが愛する熊本。そのために日本と在住外国人が手と手を取り合い、協力することが大切。私たち留学生は日本人と外国人をつなぐような存在。懸け橋になれたら」と思いを述べた。

 今後、KEEPはワークショップなどの事業に加え、熊本県庁との話し合いなどを行っていくことを予定している。

2017年4月18日付

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